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2016/09/20

精嚢分泌タンパク質SVS3とSVS4は精子受精能獲得におけるSVS2の働きを促進する

論文タイトル
Seminal vesicle proteins SVS3 and SVS4 facilitate SVS2 effect on sperm capacitation
論文タイトル(訳)
精嚢分泌タンパク質SVS3とSVS4は精子受精能獲得におけるSVS2の働きを促進する
DOI
10.1530/REP-15-0551
ジャーナル名
Reproduction Bioscientifica
巻号
Reproduction Vol.152 No.4 (313-321)
著者名(敬称略)
荒木 直也,吉田 学 他
所属
東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所

抄訳

雄性性腺付属器官の1つである精嚢から分泌されるタンパク質SVSs(Seminal Vesicle Secretions)は、精漿の主要成分として交尾や受精において重要な機能を有している。マウスでは主要なSVSsとして7種類のタンパク質が知られ(SVS1~7)、そのうちSVS2が、子宮における精子の生存と受精能の調節に必須であることを報告してきた。本研究では、SVS2以外のSVSsの受精能獲得に対する影響を調べるために、SVS3とSVS4の作用を評価した。
まず、SVS4はSVS2と同様に単独で精子の受精能獲得を抑制した。SVS3は単独では受精能獲得を抑制しなかったが、SVS2と共処理することでSVS2単独よりも強い抑制作用を示した。一方、SVS3とSVS4は既に獲得した受精能を破棄させる作用は示さなかった。SVS2と同様に、SVS3とSVS4はどちらもガングリオシドGM1に対する結合性を有していた。さらに、SVS3はSVS2と高い親和性を持つことが明らかとなった。
以上より、in vivoにおける精子受精能の調節には、SVS2が中心となって働く他に、SVS3およびSVS4が補完的に働くと考えられる。

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