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2017/04/04

RNAシャペロンTDP-43による脊髄小脳失調症31型(SCA31)の変異RNAミスフォールディングとリピート関連翻訳に対する制御機構

論文タイトル
Regulatory Role of RNA Chaperone TDP-43 for RNA Misfolding and Repeat-Associated Translation in SCA31
論文タイトル(訳)
RNAシャペロンTDP-43による脊髄小脳失調症31型(SCA31)の変異RNAミスフォールディングとリピート関連翻訳に対する制御機構
DOI
10.1016/j.neuron.2017.02.046
ジャーナル名
Neuron Cell Press
巻号
Neuron Published online: March 23, 2017
著者名(敬称略)
石黒 太郎 永井 義隆 石川 欽也
所属
大阪大学大学院医学系研究科 神経難病認知症探索治療学寄附講座

抄訳

マイクロサテライト配列の伸長を原因とする疾患群において、RNA foci形成とリピート関連非AUG依存性翻訳(RAN翻訳)が認められるが、その病態メカニズムはこれまで不明であった。我々は脊髄小脳失調症31型(SCA31)の原因である伸長UGGAAリピート(UGGAA exp)を発現するショウジョウバエモデルを作製し、RNA fociとリピート関連翻訳によるPPR蛋白質の蓄積を伴って神経変性を起こすことを示した。そして、運動ニューロン疾患の原因となるRNA結合蛋白質TDP-43、FUS、hnRNPA2B1がUGGAA exp RNAと結合し、ミスフォールディングを抑制してPPR翻訳を調節するRNAシャペロンとして機能して、ショウジョウバエにおけるUGGAA expを介する毒性を抑制することを発見した。さらに、毒性のない短いUGGAAリピートRNAは、運動ニューロン疾患モデルショウジョウバエモデルにおける変異TDP-43などのRNA結合蛋白質の凝集、神経毒性を抑制した。以上の結果から、RNAとRNA結合蛋白質間の機能的なクロストークにより、両者のバランスが調整されており、マイクロサテライト伸長病とRNA結合蛋白質プロテインノパチーの両病態の関連性が示唆された。

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