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2017/04/07

レポーターライブラリーシステムによるがん抑制microRNA-34aの標的遺伝子の同定

論文タイトル
Identification of targets of tumor suppressor microRNA-34a using a reporter library system
論文タイトル(訳)
レポーターライブラリーシステムによるがん抑制microRNA-34aの標的遺伝子の同定
DOI
10.1073/pnas.1620019114
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
Published online before print March 29, 2017
著者名(敬称略)
伊藤 義晃 浅原 弘嗣 他
所属
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科システム発生・再生医学分野

抄訳

microRNA (miRNA)は、標的となるmRNAの主に3’-untranslated region (3’UTR)に結合してその発現を抑制する機能を持つ小さなノンコーディングRNAで、様々な生命現象に重要な機能を有する。miRNAの機能を明らかにする上で重要な標的遺伝子の同定法は、トランスクリプトーム解析とターゲット予測ツールなどを組み合わせて従来行われるが、3’UTR以外を介して制御される標的遺伝子や翻訳制御された標的遺伝子を同定するのが難しいなどの問題点があった。我々はルシフェラーゼ遺伝子の3’UTRに、4891個の全長cDNAを挿入したレポーターライブラリーを用いた新たな標的遺伝子同定法を開発した。本レポーターライブラリーシステムを用いてがん抑制microRNA-34aの標的遺伝子のスクリーニングを行った結果、翻訳制御される遺伝子を含む既知および新規の標的遺伝子の同定に成功した。新規標的遺伝子のうち、GFRA3は乳がん細胞MDA-MB-231の増殖に重要で、乳がん患者の生存率に関連していた。またGFRA3はコーディング領域を介して制御されていることが明らかになった。これらの結果は本システムがmiRNAの機能を明らかにするのに有用であることを示している。

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