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2017/04/18

視交叉上核における概日時計のPer1とBmal1リズムの乖離と行動リズム出力。

論文タイトル
Dissociation of Per1 and Bmal1 circadian rhythms in the suprachiasmatic nucleus in parallel with behavioral outputs
論文タイトル(訳)
視交叉上核における概日時計のPer1とBmal1リズムの乖離と行動リズム出力。
DOI
10.1073/pnas.1511513113
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America National Academy of Sciences
巻号
Published online before print April 17, 2017
著者名(敬称略)
小野 大輔
所属
名古屋大学環境医学研究所 神経系分野II

抄訳

 睡眠・覚醒をはじめ,ヒトの体の機能は約24時間周期のリズムを示す.このリズムは「概日リズム」と呼ばれ,複数の時計遺伝子の分子フィードバックループにより制御されていると考えられており,時計遺伝子Per1とBmal1発現はいずれも同一のリズム周期を示すと考えられてきた.
 しかしながら今回我々は光ファイバーを用い,自由行動下マウス脳内の概日時計中枢である「視交叉上核」のPer1と Bmal1の2つの遺伝子発現の長期計測を行い,光刺激によってリズム位相が変化する際に両遺伝子のリズムが乖離すること,また培養視交叉上核で両遺伝子が異なるリズム周期を示すことを発見した.さらにマウスの行動リズムにおける活動開始はPer1リズムと,休息開始はBmal1リズムと一致して変動することを明らかにし,Per1は生物時計を構成する夕時計(活動開始を制御),Bmal1は朝時計(休息開始を制御)の構成要素であることを示した.本研究は,自由行動中のマウス脳内の遺伝子計測と,発光・蛍光イメージングと電気活動計測を組み合わせた多機能同時計測システムの開発も行い,哺乳類の概日時計に関わる2つの時計遺伝子が独自の振動機構を持つことを明らかにした世界で初めての研究成果である.

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