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2017/07/24

活性イオウ分子種は、活性中心のシステイン残基のS-ポリスルフィド化を介してCa2+/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼIVを不活性化する

論文タイトル
Reactive sulfur species inactivate Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase IV via Sーpolysulfidation of its activeーsite cysteine residue
論文タイトル(訳)
活性イオウ分子種は、活性中心のシステイン残基のS-ポリスルフィド化を介してCa2+/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼIVを不活性化する
DOI
10.1042/BCJ20170092
ジャーナル名
Biochemical Journal Biochemical Society
巻号
Biochemical Journal Vol.474 No.15 (2547-2562)
著者名(敬称略)
髙田 剛、渡邊 泰男 他
所属
昭和薬科大学医療薬学系薬理学研究室

抄訳

活性イオウ分子種(RSS)は、生体内で産生され非常に高い抗酸化能を示し、生体内のレドックス恒常性を維持している。加えて、標的タンパク質の特定のシステイン残基を多イオウ化修飾(-S-(S)n-H: S-ポリスルフィド化)することでタンパク質機能を調節している。一方、Ca2+/カルモデュリン(CaM)依存性プロテインキナーゼIV(CaMKIV)は、Ca2+/CaM結合と上流のキナーゼによるリン酸化修飾によってその活性が制御されている。本論文では、核内に局在するCaMKIVのRSSによる部位特異的S-ポリスルフィド化修飾によって、下流の遺伝子転写活性が抑制されていることを見いだした。さらに、これらの現象が小胞体ストレス時に作動していることを示唆した。つまり、小胞体ストレス時の新規応答システムの1つとして、RSSを介した新規CaMKIV活性阻害による遺伝子転写活性抑制があるのかもしれない。

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