抄訳
主要なビタミンEであるαトコフェロールの破骨細胞活性化作用が報告されたことから、ビタミンE過剰摂取の骨粗鬆症に対するリスクが危惧されたが、ビタミンEの骨に対する影響については十分な見解は得られていない。本研究では、過剰量のビタミンE摂取が骨に及ぼす影響を、雄マウスおよび閉経後モデル雌マウスで検討した。
C57BL/6J雄性マウスに過剰量のビタミンE(1000mg/kg)を含む通常脂肪食(16%脂肪)を18週間投与したが、骨への影響は観察されなかった。肥満時の影響を観察するために、0, 200, 500, 1000mg/kgのビタミンEを含む高脂肪食(46%脂肪)を投与したが、同様に影響は観察されなかった。さらに、卵巣摘出手術を行った閉経後モデル雌マウスに1000mg/kgのビタミンEを含む高脂肪食を8週間投与したが、悪影響は観察されなかった。
1000mg/kgのビタミンE投与はヒトの摂取上限の8倍に相当し、過剰量のビタミンEを摂取しても骨に対する悪影響は認められなかった。また、肥満や閉経に伴う骨粗鬆症のリスク上昇時にも、ビタミンEは骨に悪影響を及ぼさないことが明らかになった。