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2017/11/10

GPR62はcAMPシグナルを恒常的に活性化するが,雄マウスの生殖には必須ではない

論文タイトル
GPR62 constitutively activates cAMP signaling but is dispensable for male fertility in mice
論文タイトル(訳)
GPR62はcAMPシグナルを恒常的に活性化するが,雄マウスの生殖には必須ではない
DOI
10.1530/REP-17-0333
ジャーナル名
Reproduction Bioscientifica
巻号
Reproduction Vol.154 No.6 (755-764)
著者名(敬称略)
室井 智之, 与語 圭一郎 他
所属
静岡大学学術院農学領域

抄訳

Gタンパク共役型受容体(GPCRs)は,多様な生理的機能に関わっており,創薬の標的因子として有望だが,まだ機能の不明なオーファン受容体も多い。我々は,オーファン受容体の1つであるGpr62がマウスにおいて雄の生殖細胞に発現していること,また,その発現が精子分化に伴って上昇することを見出した。また,GPR62は多くのGPCRsに保存されているBBXXBモチーフやDRYモチーフを欠いており,リガンドの非存在下でcAMPシグナルを活性化することを見出した。変異体を用いた解析から,これらのモチーフの欠損が恒常活性化能に関係していることが分かった。Gpr62遺伝子欠損マウスを作製し,生殖における働きを調べたが,KOマウスの生殖能力は正常で,精子の分化や運動性にも異常はなかった。これらの結果は,GPR62は恒常的にcAMPシグナルを活性化するGPCRsであるが雄の生殖能には必須ではないことを示している。一方,我々はGpr61がGpr62と同様の発現パターンを示すとともに,cAMPシグナルを活性化する恒常活性化能を有することを見出した。この結果はGPR62とGPR61は機能的冗長性を有し,協調的に精子の分化や機能に関与していることを示唆している。

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