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2017/12/28

Alcadein α酸性ドメイン内複数サイトのリン酸化はキネシン‐1への結合とGolgi体におけるカーゴ小胞形成に必要である

論文タイトル
Phosphorylation of multiple sites within an acidic region of Alcadein α is required for kinesin-1 association and Golgi exit of Alcadein α cargo
論文タイトル(訳)
Alcadein α酸性ドメイン内複数サイトのリン酸化はキネシン‐1への結合とGolgi体におけるカーゴ小胞形成に必要である
DOI
10.1091/mbc.E17-05-0301
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell American Society of Cell Biology
巻号
December 15, 2017 vol.28 no.6 3844-3856
著者名(敬称略)
蘇武 佑里子、鈴木 利治 他
所属
北海道大学大学院 薬学研究院 神経科学研究室

抄訳

Alcadeinα(Alcα)/Calsyntenin-1はキネシン-1と直接結合することで輸送小胞カーゴとして神経軸索上を輸送される。しかしながら、ゴルジ体において特異的にAlcαカーゴが形成される仕組みやキネシン-1がAlcαと結合する制御機構は未解明であった。
我々はAlcα細胞質ドメインの3ヶ所のSer残基のリン酸化がキネシン-1への結合に必要であることを新たに見いだした。AlcαはGolgi体においてアダプタータンパク質X11Lを介してアミロイド前駆体タンパク質(APP)と複合体を形成しているが、通常これらは別々の輸送小胞を形成し軸索中を輸送される。しかし、キネシン-1結合能の低いAlcαリン酸化サイトのアラニン変異体はAPP小胞に入り込むことで軸索中を高速に輸送されていた。加えて、Alcαアラニン変異体はGolgi体における輸送小胞の形成効率が低いことを見いだした。これらの結果から、Golgi体におけるAlcα特異的な小胞形成にはリン酸化により制御されるキネシン-1への結合が必要であることが明らかになった。Alcαはカーゴ受容体として機能すると考えられており、Alcαのリン酸化は小胞内に含まれるカーゴ分子が必要な時期に必要な量を軸索末端に送るためのシグナルとして機能することが示唆された。

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