抄訳
シロアリの腸内には、数百種類の細菌が生息し、複雑な共生系を構築している。
しかし、シロアリ腸内細菌の多くが、培養することが難しい難培養性細菌であることが知られており、これまで培養された細菌は限られていた。
今回、日本に広く生息するヤマトシロアリの腸内から、腸内の群集構造解析で検出されていた乳酸菌の1種を分離することに成功した。
分離株Rs-Y01は通性嫌気性のグラム陽性球桿菌であり、16S rRNA遺伝子配列に基づく分子系統解析からLactococcus属に属し、最も近縁な菌種はLactococcus raffinolactis JCM 5706T(類似度が98.1%)であった。
分離株Rs-Y01は糖発酵性、酵素反応パターンおよび菌体脂肪酸組成などが近縁種とは異なっていた。
以上の結果より、分離株をLactococcus属の新菌種Lactococcus reticulitermitis(基準株Rs-Y01=JCM 32106)として命名提案した。