抄訳
Glucose 6-phosphate dehydrogenase (G6PDH)は、酸化的ペントースリン酸経路の最初の反応を触媒しNADPH合成を担っている酵素で、植物の葉緑体ではレドックス制御(酸化型が活性化する)を受けることが知られている。窒素固定型シアノバクテリアでは、G6PDHは窒素固定反応を触媒するニトロゲナーゼへの還元力供給において重要な役割を果たしており、その活性化因子であるOpcAの存在下で基質に対して高い親和性を示す。窒素固定型(ヘテロシスト形成型)シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120でも、G6PDH活性がレドックス制御を受けていることが報告されているが、これまで、その分子機構は不明であった。今回の研究では、チオレドキシンがOpcAのレドックス状態を変化させることでG6PDHの活性が調節されることを明らかにし、制御に関わるOpcAのCys残基を特定した。また、OpcAのレドックス状態が光照射だけでなく窒素源にも影響されることを明らかにし、窒素欠乏下では窒素固定に必要な還元力を供給できるよう制御されている可能性があることを示した。