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2018/04/26

膵神経内分泌腫瘍におけるヒストンH3.3/H3K9me3径路を介したDAXXの腫瘍抑制機能

論文タイトル
Tumor suppressor functions of DAXX through histone H3.3/H3K9me3 pathway in pancreatic NETs
論文タイトル(訳)
膵神経内分泌腫瘍におけるヒストンH3.3/H3K9me3径路を介したDAXXの腫瘍抑制機能
DOI
10.1530/ERC-17-0328
ジャーナル名
Endocrine-Related Cancer Bioscientifica
巻号
Endocrine-Related Cancer Vol.25 No.6 (619-631)
著者名(敬称略)
上田 浩樹, 田中 真二 他
所属
東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 分子腫瘍医学分野

抄訳

膵神経内分泌腫瘍(PanNET)では、高頻度にDAXX遺伝子変異、蛋白欠失が認められる。DAXXは転写抑制因子として知られているが、PanNETにおける意義には不明な点が多い。我々は臨床検体を解析し、DAXX蛋白の低発現症例が非機能性、Ki-67高値、G2に多く、その33.3%に遺伝子変異を検出することを明らかにした。さらにゲノム編集にてDAXX遺伝子をノックアウト(KO)したヒトPanNET細胞株を作成し、microarray及びクロマチン免疫沈降法にて標的遺伝子を探索した結果、DAXX/H3.3/H3K9me3経路により直接転写抑制される標的遺伝子STC2を同定した。DAXX-KO PanNET細胞ではスフェア形成能が亢進したが、その効果はSTC2ノックダウンにより解除された。マウス腫瘍モデルでは、DAXX-KOにより造腫瘍能が亢進しSTC2蛋白高発現を認めた。臨床的には、DAXX低発現かつSTC2高発現症例で有意に再発率が高かった。DAXX低発現と標的分子STC2高発現の組み合わせはPanNETの再発バイオマーカーであり、治療標的となる可能性が明らかとなった。

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