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2018/10/26

周期的圧迫によるマクロファージの機能調節と不動性筋萎縮の抑制

論文タイトル
Local cyclical compression modulates macrophage function in situ and alleviates immobilization-induced muscle atrophy
論文タイトル(訳)
周期的圧迫によるマクロファージの機能調節と不動性筋萎縮の抑制
DOI
10.1042/CS20180432
ジャーナル名
Clinical Science Portland Press
巻号
Vol.132 No.19 (2147-2161)
著者名(敬称略)
斎藤 久美子, 澤田 泰宏 他
所属
国立障害者リハビリテーションセンター運動機能系障害研究部

抄訳

身体活動性低下によって骨格筋が萎縮することは広く知られており、予防策を講ずることが喫緊の課題となっている。そこで、運動が身体にもたらす作用の‘本質’は何かを解明するために、同様に骨格筋の変形を惹起するマッサージに着目した。
身体不活動モデルとしてマウスの体幹と後肢の関節運動を制限したところ、腓腹筋に筋線維断面積の縮小・炎症因子の発現増加・マクロファージ数の増加を認め、骨格筋に不動性の萎縮と炎症が生じていた。
萎縮筋にマッサージ様周期的圧迫(Local cyclical compression)を負荷したところ、筋線維断面積の縮小・炎症因子の発現増加・マクロファージ数の増加が抑制された。
そこで、腓腹筋に造影剤を投与し周期的圧迫を負荷する実験を行った。周期的圧迫負荷の前後にCT撮影をし、画像を比較すると、造影剤の移動が筋の長軸方向に促進されていた。そこで、間質液流のシアストレスが増加したと仮説を立て、培養マクロファージにシアストレスを負荷したところ、炎症因子の発現が抑制され、生体内で起きた炎症抑制が再現された。
これらの結果から、運動とマッサージによる筋萎縮・炎症抑制作用の本質は、間質液の移動で生じるシアストレスが間質細胞へ与えるメカニカルストレスである可能性が示唆された。

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