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2003/07/31:第132号米ミネソタ州下院議員、Open Accessを擁護する法案を提出
 

米ミネソタ州下院議員、Open Accessを擁護する法案を提出
米ミネソタ州のマーチン=サボ下院議員は6月27日、学術論文の著作権法を
改訂する法案(Public Access to Science Act)を連邦議会に提出した。
この法案が可決されると、連邦政府からの助成金によって運営されている
研究の論文発表は、無料で公開されることになり、図書館などからの購読費で
運営されている学術出版社は大きな痛手を負うことになる。

 サボ下院議員は自身のホームページ上で、「(乳がんの患者や)難病を抱えて
いる子供の家族が、自身の税金で成り立っている研究データのために、購読料を
支払わなければいけないのは間違いである」と、連邦政府から助成金を得ている
研究データまでもが課金の対象となる現実を非難し、無料公開を訴えている。

 今回この法案が議会に提出された背景には、Open Accessジャーナルを推奨する
Public Library of Science(PLoS)の強い働きかけがあると言われている。
PLoSは世界中の学術論文をインターネット上で無料公開することを目的として、
2000年に科学者たちによって設立された非営利団体で、Gordon and Betty Moore
財団からの900万ドルの助成金で運営されている。同団体はすでに、生物科学系の
論文を集めたオンラインジャーナル「PLoS Biology」を今年の10月から公開する
ことを決定しており、来年には医学系のオンラインジャーナルもリリースする
予定である。

 これに対し、このような活動の有効性に疑問を投げかける声も少なくない。
American Institute of PhysicsのCEO、マーク=ブロスキー氏は「(Open Access
ジャーナルを推奨する人々は)学術情報を集積して吟味し、インデックスを付与して
アーカイブ化するのには費用がかかるということを理解していない。特にインター
ネット上で出版物を提供するには、莫大な費用がかかる」と指摘している。実際、
PLoSのジャーナルに論文を投稿するには、1500ドルを同団体に支払う必要があり、
Open Accessジャーナルに賛同している研究者もあまり積極的に論文投稿を行えない
のが実状だ。

 しかし、BioMedCentralのヤン=ベルテロプ氏が指摘するように「Open Access
という概念が社会利益として広く認識された」ことは明らかであり、有力な議員
たちの賛同を得ているこの法案が可決する可能性は高い。学術出版社がこれに対して
どのような防御策を図るのか、今後の動向が注目される。

<参考資料>
・サボ下院議員ホームページ:
http://www.house.gov/sabo/pr03-20.htm

・米国下院議院ホームページ:
http://thomas.loc.gov (Public Access to Science Act <hr.2613.ih>)

・Public Library of Scienceホームページ:
http://www.plos.org/

・iGroup社のニュースレター、ACCESS(2003年5月号)
マーク=ブロスキー氏のインタビュー記事:
http://www.aardvarknet.info/access/number44/
</hr.2613.ih>

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