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2003/11/30:第136号PLoSの無料オンラインジャーナル、Reed Elsevierの株価にも影響か
 

PLoSの無料オンラインジャーナル、Reed Elsevierの株価にも影響か
 本誌132号(2003年7月号)にて、毎年値上げを続ける学術出版社に対抗し、
学術論文をオンライン上で無料公開するOpen Accessの活動を紹介したが、
その運動が大手学術出版社の経営にも影響を与え始めているようである。

 本年11月1日の英紙The Guardianによると、オランダの学術出版社最大手、
Reed Elsevierの10月末におけるFTSE株価指数は、前月比16.5pマイナスの
458pとなり、3%以上下落した。Citygroup系列の投資会社Smith Barneyでは、
Reed Elsevierの株価下落の大きな要因として、豊富な寄付金をもとに活発な
活動を続けているPublic Library of Science(PLoS)をあげている。

 PLoSは、サンフランシスコを本拠地とする非営利団体で、学術論文をインター
ネット上で無料公開することを目的として、2000年に科学者たちによって設立
された。同団体はGordon and Betty Moore財団からの900万ドルの助成金で
運営され、本年10月に、バイオロジー関連の論文を集めた無料オンライン
ジャーナル、PLoS Biologyの公開を開始した。来年はPLoS Medicineを立ち
上げる予定である。Smith Barneyでは、「PLoSの活動によって、年間購読料の
値上げ率を5%から10%に引き上げようとするReed Elsevierの戦略は破綻して
しまうだろう」と指摘している。

 これに対し、あるReed Elsevierの関係者は、「Open Accessは資金的に
不安定であり、学術ジャーナルを出版する上で効果的な方法とは言えず、
(既存の学術出版社へ)長期にわたり影響を及ぼすとは思えない」と、強気の
姿勢を崩していない。しかし、他の主要な基金団体もPLoSへの資金提供を
表明しており、PLoSの活動は引き続き活発に行われることが予想され、今後も
学術出版社に与える影響が注目される。

<参考資料>
・The Guardian記事"Free access may constrain Reed":
http://www.guardian.co.uk/business/story/0,3604,1075548,00.html

・PLoS Biology:
http://www.plosbiology.org/

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