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2004/01/31:第138号米下院司法委員会、データベース複製防止法案を承認
 

米下院司法委員会、データベース複製防止法案を承認
米下院司法委員会は本年1月21日、データベースの複製防止を目的とする
法案、"Database and Collections of Information Misappropriation
Act of 2003 (H.R. 3261)"を、16対7の賛成多数で承認した。

 当法案は、データベースに収録されている情報に対して音楽、映画などの
著作権と同種の保護を与える目的で作成され、Reed ElsevierやThomsonなどの
データベース構築ベンダーから支持されていた。これにより、あるデータベースに
収録されている情報のうち、相当量を作成者に無断で複製し、商業目的に利用する
ことは違法とみなされる。

 当法案の支持者は、自社が多大な費用をかけて作成したデータベースから、
ライバル会社が勝手に情報をダウンロードして新しくデータベースを作成
すると、価格競争において太刀打ちできないという懸念から、データベースに
対する著作権保護を訴えていた。実際、米国では、1990年代初頭からデータ
ベースの著作権保護の関わる法案が検討されてきたが、議論が不十分である
ことなどの理由により、法案化には慎重であった。当法案の可決により、
米国で初めて、データベースの著作権が法的に保護されたことになる。

 これに対し、Amazon.comなどのオンラインショップ大手、およびGoogle、
Yahoo!などの検索エンジン大手などが「既存の法律がデータベース構築
ベンダーを保護する上で不十分である、と認められる事例が示されていない」
と当法案の可決に反対しており、データベース作成者に必要以上の法的保護を
与えることを懸念していた。

 インターネット業界における法案作成をサポートするNetCoalition社の
エリクソン氏は、「インターネット上で情報を配信する企業は、その情報が
法律で保護されている情報かどうかをモニターするために、高価でかつ困難な
システムを構築する必要が生じる」と、今回の法案により、ハイテク企業の
競争力が低下することを懸念している。米国商工会議所も、「図書館で借りた
本から得た情報も、安易に使えなくなるかもしれない」と、科学技術の発展に
およぼす影響を危惧している。また、米国では最高裁判所の判例として「事実
には著作権が認められない」と定められているが、電話帳などの事実のみを
集めたデータベースなどに対する処遇について当法案があいまいである点を
指摘する声もあがっている。

 当法案では、データベース著作権を侵害した者に対して刑事罰は規定して
おらず、データベース保有者に対して、侵害者を民事法廷で起訴する権利を
認めている。米国商工会議所では、「今後、データベース作成企業による訴訟の
繰り返しが引き起こされるのではないか」と懸念しており、今後のハイテク企業
などの対応が注目される。


<参考資料>
・American Library Associationホームページ (Issues & Advocacy):
http://capwiz.com/ala/mail/oneclick_compose/alertid=3895511

・EagleForumホームページ(コラム):"Will Corporations Own Our Identities"
http://www.eagleforum.org/column/2003/oct03/03-10-22.shtml

・米国商工会議所ホームページ:
http://www.uschamber.com/government/letters/031015database.htm

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