抄訳
糖負荷後血糖値が空腹時より低い者の特性を明らかにすることを目的に、非糖尿病者7495名(平均57歳、男性53%)の経口ブドウ糖負荷試験データを分析した。空腹時と比べ、30・60分後血糖値ともに高い者を一般曲線群、30分値は高く60分値が低い者を低60分群、30分値が低い者を低30分群とし、多項ロジスティック回帰分析より関連因子を探索した。結果、一般曲線群、低60分群、低30分群の順に年齢、男性割合、BMI、高血圧・脂質異常症治療割合、尿酸値、γ-GTP、糖尿病家族歴有割合が低かった。約1年後(中央値:366日)のデータを分析すると、同じ血糖曲線群に分類された割合は、一般曲線群で89.1%、低60分値群28.0%、低30分値群19.4%であった。さらにCox回帰分析より一般曲線群を基準に糖尿病発症ハザード比を推定したところ(平均5.8年追跡)、糖尿病発症率(/1000人年)は、一般曲線群21、低60分群5、低30分群0で、低60分群のハザード比は0.3(95%信頼区間0.2-0.5)であった。以上より空腹時よりも30・60分後血糖値が低い者は、若年で女性が多く、健康的で糖尿病発症リスクは低いことが示唆された。