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2024/04/24

新型コロナウイルスの感染が、ハムスターの下気道へ広がる性質に関する遺伝子と適応進化

論文タイトル
Genes involved in the limited spread of SARS-CoV-2 in the lower respiratory airways of hamsters may be associated with adaptive evolution
論文タイトル(訳)
新型コロナウイルスの感染が、ハムスターの下気道へ広がる性質に関する遺伝子と適応進化
DOI
10.1128/jvi.01784-23
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology Ahead of Print
著者名(敬称略)
高田 光輔 渡辺 登喜子 他
所属
大阪大学 微生物病研究所 分子ウイルス分野 渡辺研究室

抄訳

新型コロナウイルスのオミクロン株は、パンデミック発生当初の武漢株と比べて、下気道への侵襲性が低く、重症化率が低いことが報告されている。本研究では、下気道へ感染が広がる性質に関与するウイルス遺伝子領域を明らかにするために、ヒトでの自然感染を模倣した少量接種システムを用いて、武漢株、オミクロン株ならびに、各株の一部遺伝子を組換えたキメラウイルスをそれぞれハムスターに経鼻接種し、肺でのウイルスの増殖効率を比較した。その結果、ORF3aより下流の遺伝子が、新型コロナウイルスの肺での増殖に重要であることが明らかとなった。さらに、新型コロナウイルスの分子進化解析を行ったところ、ORF3aより下流の遺伝子(MとE遺伝子)で正の淘汰が検出され、それらの変異は他の近縁のコウモリコロナウイルスでは認められなかった。本研究によって、下気道へ感染が広がりづらいオミクロン株の性質にはORF3aより下流の遺伝子が関与すること、ならびに、それらがヒトに適応的な変化である可能性が示唆された。

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