ユサコニュース詳細

　元ヴァンダービルト大学の図書館員Marshall Breeding氏による図書館システムに関するアンケートの分析調査が，自身の運営するLibrary Technology Guidesで公表されている。この調査は2007年以降毎年実施されており，第7回目となる2013年度版は，2013年11月1日から2月1日の間，53か国3,000以上の図書館から得た各図書館システムの評価がまとめられている。本調査から，大規模な学術図書館においてEx Libris社のAlmaが，次世代型業務管理システムとして評価対象に登場した。
　Almaは冊子・電子などの媒体を問わず，図書館が扱う情報資料を単一のプラットフォームで管理（Unified Resource Management）することを目的に2007年に概念が発表され2012年7月にBoston Collegeで正式運用を開始した。現在の学術図書館は従来型の物理的な資源のほかに電子サービスも多く導入し，図書館システム（ILS），電子情報資源管理システム（ERMS），リンクリゾルバーなど複数のシステムを組み合わせて管理している。Almaは各種業務の分析結果に基づき，タスクベースの業務フローを提供することで業務の統合，合理化，自動化を目指している。
　本調査ではAlmaを導入している15の学術図書館から回答を得た。各項目の調査は0から9の数値評価で平均値が示されており，電子情報資源の管理に対する有効性評価では6.69ポイントでトップであった(Sierra: 6.24, Millennium: 5.17が後に続く)。紙の情報資源に対する有効性評価は，同社ILSのAlephや競合製品と比較すると低いが，同一のベンダー製品を使い続ける(Alma: 7.86, Sierra: 6.53, Aleph: 6.50)，顧客サポートの満足度(Alma: 7.08, Symphony: 6.81, Aleph: 6.48) では最も高く，全般的に大規模な学術図書館の主要な質問においてAlmaが評価されている。
　Ex Libris社のプレスリリースによると，現在全世界12か国，70機関でAlmaが運用されており，2014年末までには200以上の機関で実稼働が予定されている。報告書内のシステム移行動向調査においても，昨年に引き続き次期図書館システムの候補としてAlmaを回答した機関が多かった(上位3位はAlma:110, Sierra: 104, WorldShare Management Services: 103)。
　Breeding氏はAlmaやSierra，WMSなどの次世代型図書館業務システムをlibrary service platformと表現し新しいジャンルとして位置付けている。これらの製品の導入には，図書館スタッフの業務フローの見直しや変更が必要となり，利用者向けの統合的なインターフェイスとして比較的手軽に導入できるディスカバリーよりも準備作業の負担は大きい。先行導入機関の経験や有効性に関するレポートが待たれる。

* Marshall Breeding氏は2012年5月までヴァンダービルト大学に在籍。その後はIndependent Consultant。

参考文献
・Breeding, Marshall (2014) “Perceptions 2013: An International Survey of Library Automation”.
http://www.librarytechnology.org/perceptions2013.pl.(accessed 2014-3-31)

・Almaの導入事例報告(パデュー大学)
Bracke, Paul J. “Alma at Purdue: The Development Partnership Experience. Information Standards Quarterly”, 2012 Fall, 24(4):16-20.
http://www.niso.org/apps/group_public/download.php/9925/IP_Bracke_Alma_Purdue_isqv24no4.pdf. (accessed 2014-3-31)

・Innovative Interfaces, Inc. Sierra
http://www.iii.com/products/sierra

・OCLC WorldShare Management Services
http://www.oclc.org/worldshare.en.html

・林豊 (2012) カレントアウェアネス・ポータル「次世代型図書館業務システム主要5製品の特徴とその現状」
http://current.ndl.go.jp/e1307. (accessed 2014-3-31)

・伊藤裕之 (2012) 「次世代型図書館業務管理システム「Alma」」『薬学図書館』(2012年Vol. 57 No. 4 別冊). 日本薬学図書館協議会

・ユサコニュース第230号記事「Ex Libris：ボストンカレッジがAlmaの本格稼働を開始」 https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=117&dispmid=605

　生物学・分子生物学の発展に貢献すべく活動しているBiochemical Societyは，春の学会シーズンに合わせて，旗艦誌Biochemical Journalを含む4誌の中から，過去2年の引用数Top15・ダウンロード数Top15の日本人著者論文を2014年5月末まで無料公開しています。

・Biochemical Society Themed Collection: Japan Collection
http://www.portlandpress.com/pp/collections/japanese_cited.htm

・弊社Biochemical Society（Portland Press Limited）関連ホームページ
・Biochemical Journal: http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_233.html
・Essay in Biochemistry: http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_237.html
・Clinical Science: http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_238.html
・Biochemical Society Symposia: http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_235.html
・Biochemical Society Transactions: http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_236.html

　Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)オンライン版のホームページに，ユーザーが所属機関の図書館宛に購読をリクエスト出来るレコメンデーション機能が追加されました。下記URLより，リクエストを送ることが出来ます。下記URLよりレコメンド機能をご利用いただけます。

PNASを購読していない機関に所属し購読希望されている方は，ぜひご利用ください。

・Recommend PNAS to Your Librarian/Information Specialist ページ
http://www.pnas.org/site/misc/form.xhtml

・PNASホームページ
http://www.pnas.org/

・弊社PNASホームページ
http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_240.html

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http://www.jove.com/

・弊社JoVEホームページ
http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_673.html