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2019/03/29:第303号 ResearchGateをめぐる動き(2)
 

ResearchGateをめぐる動き(2)

 研究者SNSとして2008年にスタートしたResearchGateは,研究者の人的ネットワークの構築,協業,最新情報のキャッチアップなどを支援するサイトとして,193か国で1,500万人超が会員登録し,学術コミュニティーの中で存在感を示している。

 同サイトには雑誌論文が会員の研究成果としてアップロードされているが,それらを無償で入手することが利用の動機になっている。その中には本来有料購読が必要な出版社版コンテンツが多く含まれていることが問題となり,ResearchGateに対し著作権に準拠した運用を求める出版機関との攻防が繰り広げられている。

 主な経緯を簡単に振り返る。まず,主要な学術出版社150以上が参加する国際STM出版協会が2017年9月に改善勧告をしたがResearchGateからの反応はなかった。数週間後の10月5日には,米国化学会(ACS),Elsevier,Wiley,Wolters Kluwer,Brillの5機関が協調して有効な手段を講じるためにCoalition for Responsible Sharing(CRS)と呼ばれる出版社連合を設立したことが発表された。CRSはResearchGateに登録されているコンテンツの約40%にあたる700万論文が営利企業であるResearchGateのサイトで公開され出版社の権利を侵害しているとし,論文削除催告を送った。翌6日,ACS,Elsevierの2社がResearchGateの本拠地ドイツの地方裁判所に訴訟を起こした。

 CRSが2018年4月8日付で公開した報告書では,ResearchGate が2017年10月中にCRS加盟5機関のコンテンツの92%に当たる約140万文献を「公開」から「著者に申請して入手する形態」に変更したことを確認した。他方,CRSに加盟していない出版機関では約20%の文献しかこのような変更がされず,約400万文献が不正公開のまま放置され,その数は日々増えていると訴えている。DOIが付与された論文では平均すると毎月15万件が追加されているとのことだ。CRSは会員によるアップロード手順の中でシステム的に公開可能な文献かの確認を行う抜本的な対応を求めている。

 前述の訴訟は,2018年4月に裁判が開始され,同年10月には,再びACSとElsevierが米国におけるResearchGateの法的責任を問うためメリーランド地区連邦地方裁判所に提訴した。CRSにはAMA,BMJ,IEEE,オックスフォード大学出版局などが合流し,現在,合計17の出版機関が名を連ねている。

  このような動きの一方で,Springer NatureはResearchGateに友好的なアプローチをとってきた。CRS結成と同時期の2017年10月に,ResearchGateと知的財産権を保護しつつ学術誌の論文をオンライン上で共有する方法について協議中であるとの共同声明を発表。その成果として,2018年4月には同社の他に,Thieme,ケンブリッジ大学出版局とともに,合法的な論文共有を実施するために協調して取り組む協定に合意したことを発表した。具体的には,a. 論文共有ルール周知のためのユーザ教育,b. 出版機関から著作権侵害の警告があったResearchGate上のコンテンツの削除,c. ResearchGateに新たにアップされた文献の利用実績の可視性の向上,の3点が記されている。

 
 そして2019年3月1日に,ResearchGateとSpringer Natureによるインパクトがある試行計画が発表された。Nature本誌を含む関連23誌に2017年11月以降掲載された約6,000の論文を,ResearchGateの著者プロフィールにアップロードするというもので,3月7日までにこの作業を完了すると報じられている。対象のジャーナルはすべて著者によるゴールドOAオプションがない有料購読誌で,グリーンOAとしての公開でも6ヶ月のエンバーゴがかかっている。この実験は今のところ3ヶ月間実施され,利用状況に関するデータが収集される予定だが,期間を延長することもあり得るという。

 
 研究者SNSにより論文共有という新たな研究成果の流布モデルが定着しつつあるが,オープンアクセスの潮流が加速する中で,研究者がどう反応していくのか,また,出版機関とどのように折り合うのか,今後の展開を注視したい。

<参考>
・動向レビュー:研究者SNSとそこに収録された文献の利用 / 坂東 慶太
情報の科学と技術 68 巻 (2018) 4 号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/68/4/68_189/_article/-char/ja/
 

・小欄 第290号 ResearchGateをめぐる動き(2017年12月)
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=185&dispmid=605
 

・CRSの現状報告(Coalition for Responsible Sharing: Status Report on ResearchGate)
http://www.responsiblesharing.org/wp-content/uploads/2018/04/coalition-for-responsible-sharing-status-report-researchgate-2018-04-09.pdf<
 

・Springer Nature Syndicates Content to ResearchGate – Scholarly Kitchen誌
https://scholarlykitchen.sspnet.org/2019/03/01/springer-nature-syndicates-content-to-researchgate/
* Nature23誌がリストされています。

 

・ResearchGate and Springer Nature embark on pilot to deliver seamless discovery and an enhanced reading experience
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/researchgate-and-springer-nature-embark-on-pilot/16518868

 

・Coalition for Responsible Sharing
http://www.responsiblesharing.org/

 

Reprints Desk:Article Galaxy Gadget Storeの提供を公式発表

 2019年3月14日,米国Research Solutions社はドキュメントデリバリーサービスReprints DeskのArticle Galaxy Gadget Storeの提供開始を発表しました。Article Galaxy Gadget Storeでは,研究や科学実験向けに設計されたガジェットから様々なアプリケーションを提供します。

 ユーザーはキーワードでガジェットを検索したり,人気のあるガジェットカテゴリを閲覧して,ガジェットを選択し専用のダッシュボードに追加できます。ガジェットでは文献発注,文献管理,オープンアクセス文献の検索,PubMed検索など様々な便利なアプリケーションが提供されておりデスクトップまたはモバイル端末でも動作します。

 
 Research Solutions社のCEOであるPeter Derycz氏はArticle Galaxy Gadget Storeの有用性について次のように述べています。

「研究者の発見と時間節約の一助となるためにGadget Storeを開発しました。ユーザーはReprints Deskのワークフローを離れることなく,研究のための科学コンテンツやデータに簡単にアクセスできます。結果的に50%以上の時間節約が報告された顧客も存在します」

 

 ガジェットストアの利用アカウントは8つのガジェットを含み無料で開設できます。 無料アカウントを設定した後,ユーザーはいつでも有料プランにアップグレードできます。

 

 詳細については,弊社までお問い合わせください。

 
<参考>
・Reprints Desk社プレスリリース
https://info.reprintsdesk.com/about/newsroom/reprints-desk-announces-launch-of-article-galaxy-gadget-store

 

・Reprints Desk Article Galaxy Gadget Storeホームページ
https://info.reprintsdesk.com/gadget-store

 

NVivo無料オンラインセミナーのお知らせ

 NVivoの無料オンラインセミナーを下記の通り開催いたします。場所を問わず気軽に参加できるオンラインセミナーをぜひご利用ください。

 

● 開催概要:
日時:2019年4月17日(水)17:00 - 18:00

 

内容:
 NVivo 12 Plus for Windowsを使い,基本操作(データ取り込み,コーディング,クエリ)の一部を説明いたします。NVivoについてご存知ない方や,基本的な機能を見てみたい方にオススメです。

 

(1)NVivoの概要
(2)操作デモ
・プロジェクトの作成
・インターフェースの説明
・データのインポート(1) テキスト・文献PDF・EndNote
・コーディング
・データのインポート(2) アンケート回答
・可視化機能(ワードツリー・行列コーディング・クロス集計)
・データのインポート(3) 動画・音声
・自動文字起こしサービス「NVivo Transcription」

 

▼オンラインセミナー詳細・お申し込みはこちら
 http://www2.usaco.co.jp/shop/pages/en_nvivo_webinar.aspx

  
【オンラインセミナーに関するお問い合わせはこちら】
ユサコ株式会社 アカデミア事業部 営業部 EC Sales
shop@usaco.co.jp

 

皆様のご参加をお待ちしております。

JSTOR:出典情報の新共有ツールをリリース

 JSTORはMy Workspace内で保存した出典(ソース)のリストを簡単に共有することで,授業や共同研究をサポートする機能を発表しました。

 My WorkspaceはJSTORのcitation-managementツールで,JSTORのジャーナルの論文やブックのチャプター,また,ウェブで見つけた他の資料へのリンクも保存し整理することができます。MyJSTORアカウントにログイン後Share機能を使えば,保存した論文やフォルダーを同僚や生徒,知人にメールで送って共有できます。そのメールアドレスはJSTORで保存されず,また受け手もMyJSTORアカウントを持つ必要はありません。

 

 詳細については,弊社までお問合せください。

 

<参考>
・JSTORニュースリリース
https://about.jstor.org/news/a-new-way-to-share-sources-on-jstor/

 

 

Portland Press:ScienceOpenとの連携でNeuronal Signalingが収録の対象に

 Portland Press Limitedは,オープンアクセス誌:Neuronal SignalingについてScienceOpenと連携しました。

 

 Neuronal Signalingは分子・細胞神経科学分野の幅広いテーマを取り上げるフルオープンアクセス誌で,今回の連携により,ScienceOpen上でも論文へアクセスすることが可能になります。ScienceOpenではNeuronal Signalingコレクションとして掲載されています。

 

 Portland Pressの取締役会長Richard Reece氏は,持続可能なオープンアクセス誌の刊行はPortland Pressにとっても重要な方針のひとつと述べ,「ScienceOpenでの新しいコレクションページはNeuronal Signalingの優れた研究の利用を更に増やし,研究者と業界スペシャリスト間の会話促進を助長するだろう。この連携はNeuronal Signalingの今後の更なる発展への重要なステップで,グローバルコミュニティーにより良いサービスを提供できるだろう」と語っています。

 

詳細については,弊社までお問合せください。

<参考>
・Portland Press Limited: Neuronal Signalingホームページ
http://www.neuronalsignaling.org/

 

・ScienceOpen: Neuronal Signalingホームページ
https://www.scienceopen.com/collection/NeuronalSignaling

 

・ScienceOpenニュースリリース
http://blog.scienceopen.com/2019/03/portland-press-partners-with-scienceopen-to-foster-research-in-neuronal-signaling/

 

Endocrine Society:JCEM新編集長就任

 Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(JCEM)を刊行するEndocrine Society(米国内分泌学会)は,2020年1月から3年の任期でPaul M. Stewart氏がJCEMの新編集長に就任することを発表しました。

 

 Stewart氏は現在Journal of the Endocrine Societyの共同編集者を務めており,過去にはJCEMやEndocrinologyの編集委員を務め,Endocrine Reviewsの諮問委員にも選ばれています。また,英国リーズ大学の医学部学部長を務め,大学病院NHS Trustでは名誉コンサルタント内分泌学者として従事し,彼の臨床的な専門知識は下垂体障害や副腎障害,および内分泌性高血圧の患者にまで及んでいます。

 

 「医学と科学において最も優れたジャーナルの1つを率いる尊敬すべき編集チームと一緒に働けて光栄です。JCEMは世界的にその高品質な成果が評価されています。ますます増加するグローバルな読者のためにも,革新的で実践的な研究を出版することで,この素晴らしい評判を継承していきます」とStewart氏は述べています。

 

 学会会長のSusan J. Mandel氏は,Stewart氏の就任を心から歓迎すると述べ,Stewart氏は輝かしい臨床研究の経歴,広範囲に及ぶ編集の経験,また世界的な視点により,JCEMを一流の内分泌学のジャーナルとして位置付けるだろうと期待しています。



<参考>
・Endocrine Societyプレスリリース
https://www.endocrine.org/news-room/2019/stewart-named-editor-in-chief

 

・Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismホームページ
https://academic.oup.com/jcem

 

・弊社Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismホームページ
http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_231.html

 

EndNote無料オンラインセミナーのお知らせ

 EndNoteの無料オンラインセミナーを下記の通り開催いたします。場所を問わず気軽に参加できるオンラインセミナーをぜひご利用ください。

 

▼オンラインセミナー詳細・お申し込みはこちら
 http://www2.usaco.co.jp/shop/pages/en_nvivo_webinar.aspx

 

● 開催概要:
日時:
 2019年4月5日(金)17:30 - 18:30
 2019年4月25日(木)17:00 - 18:00

 

内容:EndNoteを使い始めよう!
(1) 製品インターフェース紹介・用語解説

 

(2) EndNoteと言えばコレ! - 投稿規定に合わせた参考文献リスト自動作成 -
 2-1.EndNoteからWord上に文献を引用挿入する
 2-2.投稿するジャーナルのフォーマットに変更する
 2-3.投稿先のフォーマットがない時は?
 2-4.Word上から引用挿入した参考文献を削除する

 

(3) EndNoteに文献を保存 - PDF,PubMedから文献情報を取り込む -
 3-1.新しくライブラリを作成する
 3-2.PDFから取り込む
 3-3.PDFからの取り込みがうまくいかない時は?
 3-4.PubMedから取り込む

 

(4) EndNoteでPDFをカンタン整理 - PDF自動ダウンロード,PDF添付 -
 4-1.取り込んだ文献情報のPDFを自動ダウンロードする
 4-2.PDF自動ダウンロード機能を使う時の注意点
 4-3.手動でPDFを添付する

 

  最新版EndNote X9(Windows)を使って,基本操作(文献収集・管理,論文作成支援)をご説明します。これからEndNoteを使い始める方や,基本操作に慣れていない方にオススメです。

 

【オンラインセミナーに関するお問い合わせはこちら】
ユサコ株式会社 アカデミア事業部 営業部 EC Sales
shop@usaco.co.jp

皆様のご参加をお待ちしております。

展示・セミナーのご案内
日時 展示・セミナー名 会場
2019年4月11日(木)~4月14日(日)

国際医用画像総合展 ITEM

パシフィコ横浜
2019年5月23日(木)~5月25日(土)

第62回日本糖尿病学会年次学術集会

仙台国際センター他
2019年5月30日(木)~2019年5月31日(金)

日本医学図書館協会通常総会・分科会

日本教育会館/東京
2019年6月20日(木)~6月22日(土)

日本精神神経学会学術総会

朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンター
2019年7月6日(土)~7月7日(日)

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