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2024/06/06

注意欠如多動症と自閉スペクトラム症における共有と疾患特異的な神経基盤:243のfMRI研究のメタ解析

論文タイトル
Shared and Specific Neural Correlates of Attention Deficit Hyperactivity Disorder and Autism Spectrum Disorder: A Meta-Analysis of 243 Task-Based Functional MRI Studies
論文タイトル(訳)
注意欠如多動症と自閉スペクトラム症における共有と疾患特異的な神経基盤:243のfMRI研究のメタ解析
DOI
10.1176/appi.ajp.20230270
ジャーナル名
American Journal of Psychiatry
巻号
American Journal of Psychiatry VOL. 181 No. 6 (June 2024)
著者名(敬称略)
多門 裕貴 青木 悠太 他
所属
あおきクリニック
著者からのひと言
ASDとADHDはしばしば併存します。診断基準はASDとADHDでは全く異なるのですが、実臨床では当事者の方の困りがASDから来るのかADHDからくるのか判断がつかないこともしばしばあります。そのためASDとADHDが本当は同じ症候群なのか、あるいは全く別なものが偶然併発しやすいのかわかっていません。この論文はこのようなASD/ADHDの診断に関する議論を深めるものです。この論文に関するEditorialも出版されておりこの議論についてはeditorialにも詳しく書かれていますので併せて読んでいただけると幸いです。

抄訳

目的:
診断による心理課題の選択バイアスを回避した状況で、注意欠陥多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)に共通する脳活動および疾患特異的な脳活動を検討する。
方法:
発達障害当事者群と定型発達者の間で心理課題中の脳活動に有意差がある脳座標を抽出した。心理課題は研究領域基準に従ってグループ化され、認知コンポーネントのプロファイルが診断間でマッチするように層化抽出を行った。
結果:
ASDとADHDは、舌状回などで共通して高い脳活動を示し、中前頭回や島などの領域では共通して低い脳活動を示した。対照的に、左中側頭回と左中前頭回を含む領域ではそれぞれASDに特異的な高活動と低活動があり、扁桃体と淡蒼球ではそれぞれADHDに特異的な高活動と低活動が存在した。
結論:
疾患特異的な脳活動は共通の脳活動よりもより広範囲に及んだ。 ADHDとASD の脳活動の違いは、診断による心理課題の選択バイアスよりも、診断に関連した病態生理学を反映していると考えられた。

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