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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/07/31

難治性末梢性T細胞リンパ腫非特定型に対し、ゲムシタビン単剤が同種造血幹細胞移植への橋渡しとなった1例 New

論文タイトル
Single-agent gemcitabine enabling successful bridging to allogeneic haematopoietic stem-cell transplantation in refractory peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified
論文タイトル(訳)
難治性末梢性T細胞リンパ腫非特定型に対し、ゲムシタビン単剤が同種造血幹細胞移植への橋渡しとなった1例
DOI
10.1136/bcr-2025-268692
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
Volume 19, Issue 6
著者名(敬称略)
北川 智也 他
所属
関西電力病院 血液内科

抄訳

末梢性T細胞リンパ腫非特定型(PTCL-NOS)は不均一性が高く、再発・難治例の予後は不良です。本症例は20歳代男性で、brentuximab vedotin併用CHP療法、SMILE療法、pralatrexate療法のいずれにも抵抗性を示しました。その後、ゲムシタビン単剤療法により不確定な完全寛解(CRu)が得られ、骨髄非破壊的処置による同種造血幹細胞移植へ移行することができました。移植後36か月時点でも再発なく経過しています。また、治療経過を通じて白血球/リンパ球比(LLR)が病勢と概ね並行して推移しており、簡便な補助的指標となる可能性が示唆されました。本症例は、難治性PTCL-NOSにおいて、ゲムシタビン単剤が毒性を抑えつつ移植への橋渡し治療となり得る可能性を示すものです

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2026/07/31

光合成酸素発生系における脂肪族アミノ酸からカルボキシレート配位子の翻訳後生成 New

論文タイトル
Posttranslational generation of carboxylate ligands from aliphatic side chains in the photosynthetic oxygen-evolving complex
論文タイトル(訳)
光合成酸素発生系における脂肪族アミノ酸からカルボキシレート配位子の翻訳後生成
DOI
10.1073/pnas.2610028123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (30) e2610028123
著者名(敬称略)
水江 初音 野口 巧 他
所属
名古屋大学大学院理学研究科物理科学領域
著者からのひと言
光合成による酸素発生は、太古の地球環境を大きく変え、生命の進化に大きな影響を与えました。この酸素発生を担う光化学系Ⅱにおける酸素発生系が、脂肪族アミノ酸をはじめとする様々なアミノ酸から、触媒中心であるマンガンクラスターのカルボキシレート配位子を翻訳後修飾によってタンパク質レベルで生成する能力を有することが明らかとなりました。この能力は、24億年以前に起こった光合成酸素発生の起源と進化に重要な役割を果たしたと考えられます。

抄訳

光合成酸素発生は、光化学系Ⅱの酸素発生系に存在するMn4CaO5クラスターによって触媒される。この反応は約24億年前の大酸化イベント以前に始まったと考えられるが、光化学系Ⅱの進化の過程で酸素発生系がどのように形成されたかは未だ不明である。我々は以前、シアノバクテリアにおけるMn4CaO5クラスターのアスパラギン酸/グルタミン酸配位子をヒスチジンやアスパラギン/グルタミンに改変した変異体において、これらのアミノ酸残基が翻訳後に本来のカルボキシレート残基に変換されることを見出した。本研究では、反応性置換基を持たない脂肪族アミノ酸が同様なアミノ酸変換を起こすか否かを調べた。その結果、アスパラギン酸配位子D1-Asp170をバリン/ロイシン/イソロイシンに、またグルタミン酸配位子D1-Glu189をロイシン/イソロイシンに改変した変異体では、これらの脂肪族アミノ酸がアスパラギン酸/グルタミン酸またはそれらの誘導体に翻訳後変換され、酸素発生活性を回復することが示された。これらの結果は、翻訳後アミノ酸変換による配位子形成が、光合成酸素発生系に本来備わっている一般的な特性であることを示している。このことは、翻訳後アミノ酸変換が光合成酸素発生の起源と進化に重要な役割を果たしたという我々の仮説を支持するものである。

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2026/07/31

ミオシン軽鎖脱リン酸化酵素の小サブユニットM20は、自己脱リン酸化の抑制によりMYPT1の抑制性リン酸化を増強する New

論文タイトル
Small subunit M20 augments inhibitory phosphorylation of MYPT1 in myosin light chain phosphatase by inhibiting autodephosphorylation
論文タイトル(訳)
 ミオシン軽鎖脱リン酸化酵素の小サブユニットM20は、自己脱リン酸化の抑制によりMYPT1の抑制性リン酸化を増強する
DOI
10.1073/pnas.2534343123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (30) e2534343123
著者名(敬称略)
山下哲生1、平野勝也1,2
所属
1香川大学医学部自律機能生理学
2現・福岡歯科大学
著者からのひと言
本研究の特筆すべき成果は、出芽酵母発現系を用いて長大な天然変性領域をもつ完全長MYPT1を含むMLCP複合体を高純度で再構成し、発見以来30年にわたり機能不明であったM20の機能を明らかにしたことです。本成果は、MLCPの新たな調節原理を示すものであり、高血圧や血管疾患、がんなど、MLCPが関与する病態の解明や治療法開発の基盤となることが期待されます。

抄訳

 ミオシン軽鎖脱リン酸化酵素(MLCP)は、ミオシン軽鎖を脱リン酸化し、平滑筋の弛緩やさまざまな細胞機能を調節します。MLCPを構成する三つのサブユニット(PP1c, MYPT1, M20)のうち、M20が酵素機能にどのように関与するかは明らかではありませんでした。本研究では、M20の有無で再構成したMLCPを生化学的に比較するとともに、高速原子間力顕微鏡を用いてその分子動態を観察しました。M20を欠くMLCPでは、MYPT1を介した複合体間の会合によってスーパー二量体が形成され、MYPT1の自己脱リン酸化が促進されました。これに対し、M20はMYPT1のC末端領域に結合して複合体間の会合を妨げ、Thr696およびThr853のリン酸化状態を維持しました。以上から、M20はMLCPの高次構造を変化させることにより自己脱リン酸化を制御し、酵素の抑制状態を調節することが示されました。本研究は、平滑筋収縮や細胞運動に関わるMLCPの新たな調節原理を提示するものです。

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2026/07/31

液胞リパーゼAtg15の膜認識と活性化を支える構造・分子機構 New

論文タイトル
Structural and mechanistic basis for membrane recognition and activation of the vacuolar lipase Atg15
論文タイトル(訳)
液胞リパーゼAtg15の膜認識と活性化を支える構造・分子機構
DOI
10.1073/pnas.2601290123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (30) e2601290123
著者名(敬称略)
川俣 朋子 境 祐二 他
所属
横浜市立大学 理学部 理学科 生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻
著者からのひと言
細胞の中では、不要な膜を分解しながら、液胞膜などの大切な膜は守らなければなりません。本研究では、分子動力学シミュレーションと酵母・試験管内での実験を組み合わせ、脂質分解酵素Atg15が活性化され、分解対象の膜に優先的に働く仕組みを明らかにしました。計算による予測を実験で確かめることで、切断、膜結合、膜曲率認識という多段階の制御が見えてきました。細胞が膜を「安全に壊す」巧妙な仕組みを、ぜひご覧ください。

抄訳

オートファジーでは、細胞質成分を取り込んだオートファゴソームが液胞へ融合し、液胞内のオートファジックボディーなどの膜が分解される。しかし、脂質分解酵素Atg15が、周囲の液胞膜を傷つけることなく標的となる内腔膜に作用する仕組みは不明であった。
本研究では、酵母を用いた細胞内解析と試験管内実験に、全原子・粗視化分子動力学シミュレーションを組み合わせ、Atg15の活性化と膜認識機構を明らかにした。ジスルフィド結合は触媒コアの構造を安定化し、切断前のC末端領域は活性中心を閉じた状態に固定していた。C末端の切断後、膜への結合によって活性中心が開き、脂質が触媒部位へ到達できるようになった。さらにAtg15は、平坦な膜よりも小胞に相当する正の曲率をもつ膜に優先的に結合した。これらの結果から、Atg15は構造安定化、切断、膜結合、膜曲率認識という多段階の制御により、分解対象となる内腔膜を安全かつ優先的に分解すると考えられる。

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2026/07/29

大腸菌 ST131 のパンデミック動態に迫る地域(コミュニティ)基盤のワンヘルス・アプローチ New

論文タイトル
A community-based One Health approach to the pandemic dynamics of Escherichia coli ST131
論文タイトル(訳)
大腸菌 ST131 のパンデミック動態に迫る地域(コミュニティ)基盤のワンヘルス・アプローチ
DOI
10.1128/aac.00007-26
ジャーナル名
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
巻号
Antimicrobial Agents and Chemotherapy Ahead of Print
著者名(敬称略)
前田 愛子 佐藤 豊孝 他
所属
北海道大学大学院獣医学研究院 衛生学分野 獣医衛生学教室
著者からのひと言

抄訳

薬剤耐性菌の世界的拡散はゲノム研究で解明が進むが、採取期間や地域の不均一さから、パンデミック確立の詳細過程は不明であった。本研究では国際的高リスククローンであるフルオロキノロン耐性(FQ-R)大腸菌 ST131 に着目し、札幌圏を対象に統一期間(2021–2022年)でヒト・伴侶動物・下水・家畜を統合し、世帯レベルまで捉えるワンヘルス枠組みを構築した。大腸菌2,358株のうち FQ-R 235株(ST131 88株を含む)をゲノム解析した結果、ST131 は高いクローン多様性の中に明確な集団構造をもち、ヒトと伴侶動物で共有されるサブクラスターが認められた。コアゲノム SNP 解析からは、健常人の保菌、無症候のヒト間伝播、世帯内のヒト–伴侶動物間伝播が示唆された。これら保菌株は多様な耐性遺伝子・病原因子を保有し臨床株と酷似しており、院内へ拡散が示唆された。国際ゲノムとの統合解析では、札幌の伝播が ST131 の世界的拡大の一部であることが示された。本研究は地域社会から世界規模への耐性菌拡散を解明する拡張可能なモデルであり、地域・世帯レベルでの介入の必要性を示す。

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2026/07/17

トランスポゾンシーケンシングとパンゲノムの統合解析による、Mycobacterium avium subsp. hominissuisにおける共通および系統特異的必須遺伝子の同定

論文タイトル
Integrated analysis of transposon insertion sequencing and pangenome reveals core and lineage-specific essential genes in Mycobacterium avium subsp. hominissuis
論文タイトル(訳)
トランスポゾンシーケンシングとパンゲノムの統合解析による、Mycobacterium avium subsp. hominissuisにおける共通および系統特異的必須遺伝子の同定
DOI
10.1099/mgen.0.001753
ジャーナル名
Microbial Genomics
巻号
Volume 12, Issue 6
著者名(敬称略)
澤井 宏太郎  港 雄介 他
所属
藤田医科大学 感染症研究センター 感染症創薬創薬研究部門
著者からのひと言
これまでMAHの研究では、日本の臨床で問題となっているEA系統株とは異なる遺伝系統の株が用いられることが多く、EA系統株の性質は十分に理解されていませんでした。本研究では、EA系統株と他系統株の比較解析を行い、MAHでは菌株によって必須遺伝子の構成が大きく異なることを明らかにしました。特に、当初の予想よりも共通必須遺伝子や系統内で保存される必須遺伝子が少なかった点は、MAHの多様性を理解するうえで重要な知見です。

抄訳

結核菌の類縁菌である非結核性抗酸菌(NTM)に起因する肺疾患(NTM-PD)が近年増加しており、世界的に問題となっている。NTMの一種である Mycobacterium avium subsp. hominissuis (MAH)は、NTM-PDの主要な原因菌である。MAHは結核菌と同様に複数の遺伝系統が存在し、系統ごとに特有の地理的分布と宿主適応性を示す。本研究では、日本の患者環境由来のMAH 3株を対象にゲノム解析を実施した。その結果、これら3株は日本および韓国の患者由来株で多く見られる東アジア(EA)系統に属することが明らかとなった。次に、公開済みMAH 23株の全ゲノム配列を含めたパンゲノム解析を実施し、異なるMAH系統間で保存されている3,313個のコア遺伝子を同定した。さらに、トランスポゾンシーケンシングによって3株の必須遺伝子を網羅的に同定し、既報のSC3系統株であるMAC109の必須遺伝子と比較した。多くの必須遺伝子はコア遺伝子に由来していた一方で、EA系統とSC3系統に共通する必須遺伝子に加え、系統特異的な必須遺伝子も同定された。

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2026/06/30

近接標識用偽型ウイルスを用いた宿主細胞側ウイルス接着因子の同定

論文タイトル
Pseudovirus-mediated proximity labeling identifies candidate host cell membrane proteins involved in viral attachment
論文タイトル(訳)
近接標識用偽型ウイルスを用いた宿主細胞側ウイルス接着因子の同定
DOI
10.1128/jvi.00507-26
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
100(5):e0050726
著者名(敬称略)
小谷 典弘
所属
埼玉医科大学 医学部 薬理学
著者からのひと言
任意のウイルスのウイルス受容体候補をスクリーニングできる方法です。

抄訳

ウイルス感染は、COVID-19パンデミックに代表されるように、人類にとって重大な脅威である。被害を軽減するためには、原因ウイルスの生物学的特性を理解し対処することが不可欠となる。
本研究では、各種ウイルスの結合・感染に重要な宿主細胞側分子群(ウイルス受容体等)を同定する新手法を報告する。これら分子群はウイルス結合部位近傍に局在すると考えられるため、近接標識技術(proximity labeling: PL)を利用して特異的に標識・同定する手法を着想した。PL酵素をウイルス表面に発現する偽型ウイルスを作製し、宿主細胞に処理後、PL反応でこれら分子群を標識した。本法により、インフルエンザ偽型ウイルスを作製し、複数の候補分子を同定した。CHO細胞を用いたウイルス結合実験により、Neurophlin-1がインフルエンザウイルスの宿主細胞への結合に重要である可能性が示唆された。
本法は簡便かつ迅速に結果が得られるため、緊急解析が必要なパンデミックウイルスを含む、幅広いエンベロープウイルスに適用可能である。

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2026/06/12

塩生植物シバナ(Triglochin maritima L.)の根圏および根内部から分離された新種細菌 Qipengyuania triglochinis sp. nov. および Alteriqipengyuania triglochinis sp. nov.

論文タイトル
Qipengyuania triglochinis sp. nov. and Alteriqipengyuania triglochinis sp. nov.: two novel Erythrobacteraceae
members isolated from rhizosphere and root in Triglochin maritima L.
論文タイトル(訳)
塩生植物シバナ(Triglochin maritima L.)の根圏および根内部から分離された新種細菌 Qipengyuania triglochinis sp. nov. および Alteriqipengyuania triglochinis sp. nov.
DOI
10.1099/ijsem.0.007113
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
巻号
Volume 76, Issue 4
著者名(敬称略)
山本 紘輔 他
所属
東京農業大学 生命科学部 分子微生物学科 植物共生微生物学研究室

抄訳

北海道・能取湖の塩湿地に生育する塩生植物シバナ(Triglochin maritima L.)の根圏土壌および根内部から、新種と考えられる2株の細菌を分離しました。これらの菌株について、16S rRNA遺伝子解析、全ゲノム解析、生理・生化学的性状解析、および化学分類学的解析を行った結果、既知の近縁種とは明確に区別される新種であることが明らかとなりました。そこで、それぞれを「Qipengyuania triglochinis」および「Alteriqipengyuania
triglochinis
」として提案しました。種小名の triglochinis は、分離源であるシバナの学名に由来しています。
現在までに陸生の塩生植物から、これらの属に属する新種細菌が分離、記載された例はなく、本発見は世界初の報告となります。また、両菌株は高塩濃度環境下でも生育可能であり、塩湿地という特殊な環境への適応能を有していると考えられます。シバナは高塩環境に適応した植物であることから、これらの細菌がシバナの生育向上に何らかの役割を果たしている可能性も期待されます。

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2026/06/12

塩生植物シバナ(Triglochin maritima L.)の根圏および根内部から分離された新種細菌 Qipengyuania triglochinis sp. nov. および Alteriqipengyuania triglochinis sp. nov.

論文タイトル
Qipengyuania triglochinis sp. nov. and Alteriqipengyuania triglochinis sp. nov.: two novel Erythrobacteraceae members isolated from rhizosphere and root in Triglochin maritima L.
論文タイトル(訳)
塩生植物シバナ(Triglochin maritima L.)の根圏および根内部から分離された新種細菌 Qipengyuania triglochinis sp. nov. および Alteriqipengyuania triglochinis sp. nov.
DOI
10.1099/ijsem.0.007113
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
巻号
Volume 76, Issue 4
著者名(敬称略)
山本 紘輔 他
所属
東京農業大学 生命科学部 分子微生物学科 植物共生微生物学研究室

抄訳

北海道・能取湖の塩湿地に生育する塩生植物シバナ(Triglochin maritima L.)の根圏土壌および根内部から、新種と考えられる2株の細菌を分離しました。これらの菌株について、16S rRNA遺伝子解析、全ゲノム解析、生理・生化学的性状解析、および化学分類学的解析を行った結果、既知の近縁種とは明確に区別される新種であることが明らかとなりました。そこで、それぞれを「Qipengyuania triglochinis」および「Alteriqipengyuania triglochinis」として提案しました。種小名の triglochinis は、分離源であるシバナの学名に由来しています。
現在までに陸生の塩生植物から、これらの属に属する新種細菌が分離、記載された例はなく、本発見は世界初の報告となります。また、両菌株は高塩濃度環境下でも生育可能であり、塩湿地という特殊な環境への適応能を有していると考えられます。シバナは高塩環境に適応した植物であることから、これらの細菌がシバナの生育向上に何らかの役割を果たしている可能性も期待されます。

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2026/06/12

 STAT3 P715L変異を有するT細胞性大顆粒リンパ球白血病に合併した赤芽球癆の1例

論文タイトル
T-cell large granular lymphocyte leukaemia with pure red cell aplasia harbouring a somatic STAT3 P715L mutation
論文タイトル(訳)
 STAT3 P715L変異を有するT細胞性大顆粒リンパ球白血病に合併した赤芽球癆の1例
DOI
10.1136/bcr-2025-268958
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Volume 19, Issue 6
著者名(敬称略)
岡本 裕介 石山 賢一 他
所属
京都大学大学院医学研究科 血液内科学
著者からのひと言
 T-LGLLではSTAT3変異の多くがSH2ドメインに集中することが知られているが、本症例は初めてSH2ドメイン外のSTAT3 P715L体細胞変異を同定した点で極めて興味深い。さらに、病理学的にSTAT3活性化を証明し、シクロスポリンに良好な治療反応を示したことから、希少変異であっても臨床的意義を有する可能性が示された。分子異常と自己免疫性血球減少症との関連を考える上で、診断・病態解明・治療戦略に新たな視点を提供する症例報告である。

抄訳

本症例は、進行性貧血を契機に診断された50歳代女性のT細胞性大顆粒リンパ球白血病(T-LGLL)に伴う赤芽球癆(PRCA)の報告である。骨髄検査では赤芽球系の著明な減少を認め、末梢血フローサイトメトリーおよびT細胞受容体遺伝子再構成解析により単クローン性CD8陽性細胞傷害性T細胞の増殖が確認された。さらにNGS解析によりSTAT3遺伝子のP715L体細胞変異を同定した。この変異はこれまでSTAT3 gain-of-function(GOF)症候群における生殖細胞系列変異として報告されていたが、T-LGLLにおける体細胞変異としての報告はなかった。骨髄生検ではCD8陽性T細胞におけるリン酸化STAT3の核内集積が確認され、P715L変異によるSTAT3シグナルの恒常的活性化が示唆された。患者はシクロスポリン治療により徐々に造血能が改善し、6か月以内に輸血依存から離脱した。本症例は、T-LGLLにおけるSTAT3変異スペクトラムを拡張するだけでなく、SH2ドメイン外のSTAT3変異が疾患発症や治療反応性に関与する可能性を示した重要な症例である。

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