抄訳
タンパク質のグリコシル化は、重要な翻訳後修飾であり、バイオ医薬品を含む組換えタンパク質の安定性、有効性、免疫原性に影響を与える。糖鎖構造は、生産細胞の種類、培養条件、精製方法によって異なる大きな不均一性を示すため、組換えタンパク質の糖鎖構造のモニタリングと評価は非常に重要である。加えて、産業界で適応させるためには、自動化されたハイスループットな手段が必要である。そこで、「bead array in a single tip (BIST)」技術のコンセプトを活用して世界初の全自動レクチンベースの糖鎖プロファイリングシステムを開発した。本システムでは、糖鎖を認識するレクチン固定化ビーズをそれぞれ1,000個単位で調製・保存することができ、様々な目的に合わせてチップを作製、カスタマイズ可能である。システムの汎用性を高めるため、N型糖鎖やO型糖鎖を認識する15種類のレクチンを選択し、内包したチップを「標準GlycoBISTチップ」と名付けた。本システムの信頼性は再現性試験や長期保存試験を通じて確認され、さらにサンプルのラベリングプロセスを最適化し、全体の処理時間を30分短縮した。また、データの視認性向上のために、レクチン結合シグナルは機器モニターにドットコードとして表示される。このユーザーフレンドリーで迅速な糖鎖分析装置は、糖質科学に馴染みのない研究者による分析を容易にし、実用的な有用性を広げることが期待される。