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日本人論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2021/06/16

18F-FDG-PET集積を示す良性副腎皮質腫瘍の病理学的・遺伝子学的特徴 New

論文タイトル
Characteristics of benign adrenocortical adenomas with 18F-FDG PET accumulation
論文タイトル(訳)
18F-FDG-PET集積を示す良性副腎皮質腫瘍の病理学的・遺伝子学的特徴
DOI
10.1530/EJE-20-1459
ジャーナル名
European Journal of Endocrinology
巻号
European Journal of Endocrinology Vol.185 Issue 1 (155–165)
著者名(敬称略)
石渡 一樹, 鈴木 佐和子 他
所属
千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学

抄訳

18F-FDG-PET (PET) 集積で発見される良性副腎皮質腺腫が増えている。我々はその特徴を明らかにする目的で、PET を施行したコルチゾール産生腫瘍 30例 (26例の副腎腺腫と4例の副腎皮質癌)の臨床病理学的解析および遺伝子学的解析を行った。その結果、良性副腎皮質腺腫でも 65%と比較的高率にPET集積を認め、PET集積が高い症例は肉眼的に黒色調のblack adenomaが多く含まれていた。Black adenomaは脂肪成分が少ないため、PET集積を認める副腎皮質腺腫は、CT値が高く、MRIではT1・T2強調画像ともに高信号、opposed phaseで信号低下を認めず、131I-アドステロールシンチでは集積が減弱していた。Black adenomaの細胞内には障害を受けたミトコンドリアが豊富で、摘出副腎組織のRNA sequenceではLysosome pathwayやAutophagy pathwayに加えて、18F -FDGの取り込みに関与するGLUT 1.3を含むglycolysis pathwayをはじめとしたmetabolic pathwayが増加していた。PET集積を認める脂肪成分含有の少ない副腎腫瘍はBlack adenomaも念頭におき総合的な診断・治療決定が望まれる。

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2021/06/15

シロイヌナズナの全身性傷害シグナルを可視化する広視野リアルタイムイメージング法 New

論文タイトル
Wide-Field, Real-Time Imaging of Local and Systemic Wound Signals in Arabidopsis
論文タイトル(訳)
シロイヌナズナの全身性傷害シグナルを可視化する広視野リアルタイムイメージング法
DOI
10.3791/62114
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (172), e62114
著者名(敬称略)
上村 卓矢,豊田 正嗣 他
所属
埼玉大学 理学部 分子生物学科 理学部3号館

抄訳

傷害や害虫による食害を受けた植物では、被害局所のみならず遠く離れた未被害部位においても抵抗性反応が誘導される。私たちは傷害によって細胞外(アポプラスト領域)に放出されるグルタミン酸(Glu)がグルタミン酸受容体(GLR)を活性化し、それにより発生する長距離で高速なカルシウム(Ca2+)シグナルが全身性傷害応答の引き金となることを明らかにした。本プロトコルではGFP型のCa2+バイオセンサーとGluバイオセンサーを発現させたシロイヌナズナと広視野蛍光顕微鏡を用いて、傷害による全身性の高速Ca2+シグナルと細胞外のGlu濃度変化を可視化するリアルタイムイメージング法について示す。また長距離Ca2+シグナルを誘導するGluの処理方法についても紹介する。本システムを用いることで、植物のストレス応答機構における長距離シグナルネットワークを時空間的に理解することが可能となる。

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2021/06/15

上顎第二大臼歯周囲に4歯の過剰歯を認めた1例 New

論文タイトル
Four erupted supernumerary teeth around the maxillary second molar
論文タイトル(訳)
上顎第二大臼歯周囲に4歯の過剰歯を認めた1例
DOI
10.1136/bcr-2020-241213
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.14 Issue 5 (2021)
著者名(敬称略)
冨永 浩平 佐々木 亮
所属
東京女子医科大学病院 歯科口腔外科

抄訳

過剰歯の発生頻度は約1%であり、上顎前歯部が半数を占め、1歯ないし2歯の発生がほとんどである。4歯以上の過剰歯は鎖骨頭蓋異骨症やGardner症候群などに発生することが報告されているが、症候群を伴わない3歯以上の過剰歯は稀であり、そのうち片側片顎臼歯部に発生した症例は数少ない。 患者は26歳男性で、遺伝性疾患を示唆する所見はなく、過剰歯や大腸腫瘍などの家族歴は認めなかった。左側上顎第二大臼歯口蓋側に1歯、頬側に3歯の過剰歯を認めた。過剰歯はいずれも矮小歯で、歯冠の形態は不定型であった。歯根は単根で湾曲していた。過剰歯の約75%は埋伏しているが、本症例では全て萌出していた。過剰歯の発生には様々な説があるが、本症例では第二大臼歯、第三大臼歯との癒合はなく、発生時期も独立していることから歯胚・歯堤の過剰形成によるものと考えられた。

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2021/06/15

尿路病原性大腸菌の外膜蛋白質OmpXは、本菌の病原性と鞭毛発現に寄与する New

論文タイトル
Roles of OmpX, an Outer Membrane Protein, on Virulence and Flagellar Expression in Uropathogenic Escherichia coli
論文タイトル(訳)
尿路病原性大腸菌の外膜蛋白質OmpXは、本菌の病原性と鞭毛発現に寄与する
DOI
10.1128/IAI.00721-20
ジャーナル名
Infection and Immunity
巻号
Infection and Immunity Volume 89 • Number 6 • May 2021
著者名(敬称略)
平川 秀忠 他
所属
群馬大学 大学院医学系研究科細菌学講座

抄訳

尿路病原性大腸菌(UPEC)は、尿路感染症を引き起こす主要な起因菌である。本菌は、尿路系細胞に侵入しマイクロコロニーを形成する。本菌のマイクロコロニーは、様々な抗菌薬や宿主の免疫系に対して耐性を示すため、これがUPEC感染症の難治化につながると考えられている。本論文では、UPECの外膜蛋白質の1つであるOmpXが、腎臓に対する病原性に寄与することを明らかにした。ompX遺伝子を欠損させると、腎臓上皮細胞内におけるマイクロコロニー形成能が大きく低下し、それに伴って経尿道感染マウスの腎臓への感染が低減された。一方で、ompX欠損株は、野生型と比較して、鞭毛の発現量が低下しており、その結果不完全な運動性が見られた。鞭毛の構成成分であるフラジェリン蛋白質をコードする遺伝子fliCを欠損させると、ompX欠損株と同様、腎臓上皮細胞内におけるマイクロコロニー形成能が大きく低下した。さらに、fliC欠損株からompXを欠損させても、さらなるマイクロコロニー形成能の低下は観察されなかった。以上の結果から、UPECの鞭毛は、腎臓上皮細胞に対する病原性に関与すること、そしてOmpXはその鞭毛の発現に寄与することが示された。本研究結果は、UPECのOmpXが、新たな病原性因子であり、本菌による感染症に対する治療標的になりうる可能性を示唆している。

 

 

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2021/06/08

CX3CL1-CX3CR1シグナルの欠損は、肥満による慢性炎症とインスリン抵抗性を増悪させる

論文タイトル
CX3CL1-CX3CR1 Signaling Deficiency Exacerbates Obesity-induced Inflammation and Insulin Resistance in Male Mice
論文タイトル(訳)
CX3CL1-CX3CR1シグナルの欠損は、肥満による慢性炎症とインスリン抵抗性を増悪させる
DOI
10.1210/endocr/bqab064
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology Vol.162 Issue 6 (bqab064)
著者名(敬称略)
永島田 まゆみ 他
所属
金沢大学医薬保健研究域保健学系 医療科学領域 病態検査学講座

抄訳

肥満による慢性炎症とインスリン抵抗性の発症・遷延化において、骨髄から脂肪組織、肝臓等へ単球・マクロファージ等の炎症細胞を浸潤・集積させるケモカインは重要な役割を果たす。40種以上のケモカインの多くは肥満の進展に伴い発現が増加するが、我々は、唯一持続的に発現が減少するケモカインCX3CL1(fractalkine)を見出した。今回、CX3CL1の受容体CX3CR1を欠損したマウスに、高脂肪食による肥満を誘導し(DIO-KO)、慢性炎症、及びインスリン抵抗性の形成におけるCX3CL1-CX3CR1シグナルの役割を検討した。
DIO-KOの代謝表現型解析から、CX3CL1-CX3CR1シグナルの欠損は、脂肪組織に浸潤するマクロファージの極性を抗炎症性M2から炎症惹起性M1優位へとダイナミックにシフトさせ、脂肪組織の炎症を誘導、遷延化し、インスリン抵抗性を増悪させることが明らかとなった。また、肥満に伴い低下したCX3CL1-CX3CR1シグナルの回復は、インスリン抵抗性を減弱させた。以上のことからCX3CL1-CX3CR1シグナルは、肥満における慢性炎症やインスリン抵抗性の発症に深く関与することが示された

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2021/06/01

胃腺腫と亜急性連合性脊髄変性症を合併した自己免疫性胃炎の一例

論文タイトル
Autoimmune gastritis concomitant with gastric adenoma and subacute combined degeneration of the spinal cord
論文タイトル(訳)
胃腺腫と亜急性連合性脊髄変性症を合併した自己免疫性胃炎の一例
DOI
10.1136/bcr-2021-242836
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.14 Issue 5 (2021)
著者名(敬称略)
谷口 正浩 仲瀬 裕志
所属
札幌医科大学 医学部 消化器内科学講座

抄訳

自己免疫性胃炎(AIG)は、自己免疫機序による壁細胞の破壊、胃底腺領域の萎縮を特徴とする慢性胃炎である。AIGは胃腫瘍やビタミンB12欠乏を引き起こし、後者は悪性貧血や神経障害の原因となりうる。今回、胃腺腫と亜急性連合性脊髄変性症(SCD)を合併したAIGの一例を経験した。 症例は62歳の女性で、貧血精査のため当科に紹介となった。血液検査で軽度の大球性貧血、ビタミンB12低値を認め、上部消化管内視鏡検査(EGD)で胃体部優位の萎縮性胃炎と胃体部に扁平隆起を認めた。AIGによるビタミンB12欠乏及び早期胃癌を疑い、追加検査の結果判明後にビタミンB12投与と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を予定した。EGDの数日後から歩行障害が出現し、神経内科での神経診察、MRI検査の結果、SCDと診断された。ビタミンB12投与で神経症状、貧血は改善し、抗壁細胞抗体及び抗内因子抗体陽性、血清ガストリン高値、ペプシノーゲンI低値を認めたことからAIGと診断した。その後、胃腫瘍に対しESDを施行し、病理組織検査は腺腫の診断であった。胃腺腫とSCDを合併したAIGは稀であり、AIGの早期診断と合併症に対する適切な対応の重要性が示唆された一例と考え報告する。

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2021/05/26

仮想現実技術ガイド下リハビリテーションが功を奏した小脳性運動失調の1例

論文タイトル
Case of cerebellar ataxia successfully treated by virtual reality-guided rehabilitation
論文タイトル(訳)
仮想現実技術ガイド下リハビリテーションが功を奏した小脳性運動失調の1例
DOI
10.1136/bcr-2021-242287
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.14 Issue 5 (2021)
著者名(敬称略)
瀧本 和大
所属
医療法人えいしん会 岸和田リハビリテーション病院

抄訳

症例は40歳代の男性。右小脳および脳幹梗塞後の運動失調に対するリハビリテーション目的で当院転院となった。転院後3週間の理学療法的介入で患者の日常生活動作はFunctional Impedance Measure で101から124に改善した。しかしながら、フォークリフト運転手としての業務に必要なバランス機能の向上には至らなかった。この改善目的に仮想現実(VR)技術を用いたリハビリテーション用医療機器、mediVRカグラ🄬ガイド下でのバランス訓練(VR訓練)を導入した。VR訓練を平日に約40分間、2週間行ったところ、運動失調の評価尺度であるScale for the Assessment and Rating of Ataxiaは5点から1点に、Functional Balance Scale は48点から56点に、Mini-Balance Evaluation Systems Test は20点から28点に改善した。体幹動揺は臨床的に消失し、患者は職場復帰を果たした。

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2021/05/26

カルシウムの経口投与は消化管でのカルシウム感知受容体活性化によるPYY分泌促進を介してラットの摂食量を減少させる

論文タイトル
Acute Oral Calcium Suppresses Food Intake Through Enhanced Peptide-YY Secretion Mediated by the Calcium-Sensing Receptor in Rats
論文タイトル(訳)
カルシウムの経口投与は消化管でのカルシウム感知受容体活性化によるPYY分泌促進を介してラットの摂食量を減少させる
DOI
10.1093/jn/nxab013
ジャーナル名
Journal of Nutrition
巻号
Journal of Nutrition Volume 151 Issue 5 (1320–1328)
著者名(敬称略)
五十嵐 晶帆, 比良 徹 他
所属
北海道大学大学院農学研究院 基盤研究部門生物機能化学分野 食品栄養学研究室

抄訳

ヒトや実験動物においてカルシウムを補足した食事を摂取する事で体重や摂食量が減少することが報告されているが、その作用機序は明らかになっていない。本研究では、ラットにカルシウムを単回経口投与することによる食欲への影響とその作用機序について、消化管ホルモンの観点から検討した。塩化カルシウム溶液を経口投与すると、その後の摂食量が減少した。ペプチド-YY(PYY)は、食欲抑制作用をもつ消化管ホルモンであり、PYYのブロッカーとの共投与によってカルシウム投与による摂食量の減少はキャンセルされた。また、十二指腸内への液体飼料投与による門脈中PYY濃度上昇は、カルシウムの添加によって増強され、この増強作用はカルシウム感知受容体(CaSR)のアンタゴニストによってキャンセルされた。以上から、カルシウムの経口投与が消化管のCaSRを活性化し、それに伴うPYY分泌増強を介して食欲が抑制される可能性が示された。

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2021/05/25

地下生息する齧歯類、ハダカデバネズミにおけるミネラルコルチコイド受容体の重複と多様化

論文タイトル
Diversification of mineralocorticoid receptor genes in a subterranean rodent, the naked mole-rat
論文タイトル(訳)
地下生息する齧歯類、ハダカデバネズミにおけるミネラルコルチコイド受容体の重複と多様化
DOI
10.1530/JME-20-0325
ジャーナル名
Journal of Molecular Endocrinology
巻号
Journal of Molecular Endocrinology Volume 66 Issue 4 (299–311)
著者名(敬称略)
岡 香織, 三浦 恭子 他
所属
熊本大学大学院生命科学研究部 老化・健康長寿学講座

抄訳

ハダカデバネズミはアフリカのサバンナの地下に生息する小型齧歯類である。水にアクセスできない環境に暮らすことから、飲水はせず、水分摂取は餌に頼っている。我々はハダカデバネズミの浸透圧調節機構を明らかにするため、体液恒常性に関わる遺伝子の発現制御に重要な遺伝子、ミネラルコルチコイド受容体(nuclear receptor subfamily 3 group C member 2、MR)のクローニング及び機能解析を行なった。ほとんどの脊椎動物は単一のMRホモログを持つが、興味深いことにハダカデバネズミでは遺伝子重複が起き、2種類のMR遺伝子が生じていた。このうちMR1は他生物種のMRと高い相同性を持ち、発現パターンも類似していたのに対し、もう一方のMR2はDNAやリガンドとの結合に必要なドメインを欠損し、ホルモン産生に関わる組織などに高い発現が見られた。MR2は単独では転写活性化能を持たないものの、MR1と共発現することでその転写活性を亢進することが明らかとなった。MRの遺伝子重複はこれまでフタコブラクダでしか報告がなく、水の乏しい環境におけるMRシグナル伝達の調節に第二のMRが関わっている可能性が示唆される。

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2021/05/20

ヒト造血幹細胞の静止期維持培養法

論文タイトル
A Culture Method to Maintain Quiescent Human Hematopoietic Stem Cells
論文タイトル(訳)
ヒト造血幹細胞の静止期維持培養法
DOI
10.3791/61938
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (171), e61938
著者名(敬称略)
小林 央, 田久保 圭誉
所属
国立国際医療研究センター研究所 生体恒常性プロジェクト

抄訳

造血幹細胞は分化した細胞を継続的に補充しながらヒトの造血機能を生涯にわたって維持しています。造血幹細胞は運命決定した前駆細胞と比べて細胞周期が静止していることが大きな特徴です。従来、ヒト造血幹細胞研究は表面マーカーで単離した造血幹細胞を免疫不全マウスに移植することで幹細胞活性を評価されてきました。しかし、移植をすると造血幹細胞は静止期性が失われ、定常状態での挙動と異なることが最近の研究からわかってきて、より生理的条件下での造血幹細胞の挙動を理解する実験モデルが求められていました。本プロトコルでは、骨髄の微小環境(低酸素かつ脂質に富む)を模倣し、サイトカインの濃度を最適化することで、培養下で未分化かつ静止状態を維持する方法を示します。これにより試験管内での造血幹細胞の静止状態を再現することで、造血幹細胞の定常状態の特性に対する理解が深まり、造血幹細胞を実験的に操作することが可能になります。

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