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2024/06/14

ヒト胎盤JEG3細胞でのアロマターゼ遺伝子の転写はAP-2γのmRNA安定性によって調節される

論文タイトル
CYP19A1 Expression Is Controlled by mRNA Stability of the Upstream Transcription Factor AP-2ɤ in Placental JEG3 Cells
論文タイトル(訳)
ヒト胎盤JEG3細胞でのアロマターゼ遺伝子の転写はAP-2γのmRNA安定性によって調節される
DOI
10.1210/endocr/bqae055
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 165, Issue 6, June 2024, bqae055
著者名(敬称略)
琴村 直恵 石原 悟 他
所属
藤田医科大学 医学部 生化学講座

抄訳

ヒト胎盤細胞株JEG3細胞を、メチル化反応の汎用阻害薬3-デアザネプラノシン(DZNep)存在下で培養したところ、エストロゲン合成酵素アロマターゼをコードするCYP19A1遺伝子の転写上昇を見出した。同時に転写因子AP-2γのCYP19A1プロモーター領域への結合増加が観察されたので、胎盤でのCYP19A1遺伝子はAP-2γによって制御されることが明らかになった。興味深いことに、DZNepを添加しない培養下では、AP-2γをコードするTFAP2C遺伝子のプロモーター領域のクロマチン構造がオープン状態であるにもかかわらず、検出されるmRNA量は微量でそのmRNAにはN6-メチルアデノシンが多く見られた。そして、DZNep添加によってメチル化されていないmRNAが多量に観察されたことから、メチル化でTFAP2C mRNAの安定性が負に調節されることが示唆された。つまり、脱メチル化によるmRNA安定化がAP-2γ量を増加させ、CYP19A1遺伝子の転写量上昇を誘起したと考えられる。

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