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2024/06/19

ハムスター精子はTauTを介してヒポタウリンを取り込むことにより、自身を保護する。

論文タイトル
Hamster spermatozoa incorporate hypotaurine via TauT for self-protection
論文タイトル(訳)
ハムスター精子はTauTを介してヒポタウリンを取り込むことにより、自身を保護する。
DOI
10.1530/REP-24-0022
ジャーナル名
Reproduction
巻号
Reproduction Accepted Manuscripts REP-24-0022
著者名(敬称略)
竹井 元 他
所属
獨協医科大学 医学部 薬理学講座
著者からのひと言
本研究結果では、ヒポタウリンは精子を保護したのに対しヒポタウリンよりも抗酸化力が高いアスコルビン酸は精子を保護しませんでした。これはアスコルビン酸を細胞内に取り込むトランスポーターを精子が持たないためだと考えられます。また近年の研究よりヒトの精子もTauTを保持していることが明らかとなっています。これらのことから、ヒポタウリンは新規不妊治療法の開発を考える上で有力なターゲットと成ると期待しています。

抄訳

ヒトも含めた哺乳類の精子は受精能獲得と総称される様々な生理学・生化学的な変化を経なければ卵と受精することができない。受精能獲得プロセス中の精子は自発的に活性酸素種(ROS)を産生する。精子は遺伝子を運ぶ細胞であり、遺伝子を損傷するROSから自らを保護する必要がある。本研究ではハムスターを用いて、卵管内に豊富に含まれる抗酸化物質ヒポタウリンとそのトランスポーターTauTに着目し、精子がROSから自身を保護する仕組みについて研究を行った。ヒポタウリンはハムスター精子の鞭毛運動を保護し、細胞内酸化ストレスを軽減した。またハムスター精子はTauTを保持し、ヒポタウリンを細胞内に取り込んでいた。さらにTauTを阻害すると細胞内へのヒポタウリンの取り込みが阻害され、細胞内酸化ストレスが上昇し鞭毛運動が阻害された。これらの結果から、ハムスター精子はTauTを介してヒポタウリンを取り込むことで自身を保護していることが明らかとなった。

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