抄訳
本研究はパーキンソン病(PD)で病初期から嗅覚障害を生じることに注目し、MRIによる嗅球萎縮の評価が非典型パーキンソン症候群(AP)との鑑別において有用であることを示した研究である。108名のPD、13名の皮質基底核症候群(CBS)、15名の多系統萎縮症(MSA)、17名の進行性核上性麻痺(PSP)、および39名の年齢を一致させた健常群を対象に、3D-FIESTAで嗅球面積の計測およびグループ間比較を行った。結果として、PDでは平均4.2 mm²で、健常群(6.6 mm²)、CBS(5.4 mm²)、MSA(6.5 mm²)、PSP(5.4 mm²)よりも有意に小さいことが判明した。さらに、本態性振戦などの非変性パーキンソン症候群との比較でも、PDでは嗅球面積が有意に小さかった。ROC解析で、嗅球面積の測定はPDとAPの鑑別において高い診断精度を示し、AUCは0.87、最適カットオフ値は5.1 mm²、偽陽性率は18%であった。発症から2年以内の症例でも、PDの嗅球面積はAPよりも有意に小さかった。本研究の結果から、3D-FIESTAによる嗅球面積の計測はPDとAPを区別するための有望な手法であることが示唆された。