抄訳
本研究は、周術期におけるセファゾリン(CEZ)の最適な投与方法を探ることを目的として、CEZの総濃度および遊離型濃度を用いて母集団薬物動態解析を行った。対象は、前立腺摘除術または腎部分摘除術を受け、CEZが投与された152名の患者とした。解析は、Langmuir型を仮定し、CEZの血中蛋白質との結合定数(Kd)および最大結合部位数(Bmax)を用いたprotein binding siteを含む2コンパートメントモデルで行った。至適投与方法の検討には、モンテカルロシミュレーション法を使用し、CEZの黄色ブドウ球菌に対するMIC90(0.5mg/L)および大腸菌に対するMIC50(1mg/L)を超える投与量とした。母集団薬物動態解析の結果、クリアランス(CL)の因子としてCLcrが、Bmaxの因子としてアルブミンが挙げられた。至適投与方法の検討の結果、腎機能が正常な患者では3時間毎、中程度の腎機能低下患者(CLcr:20-45mL/min)では6時間毎、高度の腎機能低下患者(CLcr≦20mL/min)では12時間毎の投与が望ましいことが明らかとなった。