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2024/07/01

VAMP5はマクロファージおけるFcγ受容体依存性ファゴサイトーシスを促進し、形成されたファゴソームの成熟反応を制御する

論文タイトル
VAMP5 promotes Fcγ receptor-mediated phagocytosis and regulates phagosome maturation in macrophages
論文タイトル(訳)
VAMP5はマクロファージおけるFcγ受容体依存性ファゴサイトーシスを促進し、形成されたファゴソームの成熟反応を制御する
DOI
10.1091/mbc.E23-04-0149
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Vol. 35, No. 3
著者名(敬称略)
櫻井 千恵 初沢 清隆 他
所属
鳥取大学 医学部 生命科学科 分子生物学分野
著者からのひと言
本論文は、細胞膜に局在するSNAREタンパク質の1つVAMP5が、Fcγ受容体依存性ファゴサイトーシスの制御を担うことを初めて示したものです。具体的には、VAMP5はファゴソーム形成を促進するだけでなく、ファゴソームからの速やかな解離によってファゴソーム成熟を制御すること、また、この解離はVAMP5の特定アミノ酸配列およびクラスリンとダイナミンの活性依存的に起こることを明らかにした論文です。

抄訳

細胞膜局在のSNAP23(synaptosomal-associated protein of 23 kDa)は膜融合装置SNAREタンパク質の一つであり、Fcγ受容体依存性ファゴサイトーシスに機能する。一方、細胞膜局在SNAREタンパク質であるVAMP5(vesicle-associated membrane protein 5)は、SNAP23との相互作用は知られているがファゴサイトーシスにおける機能は不明である。 本研究では、VAMP5を過剰発現あるいは発現抑制したマクロファージの解析から①VAMP5はファゴソーム形成に機能すること、また、②VAMP5とSNAP23はともに形成されたファゴソームに局在化するが、SNAP23とは異なりVAMP5は早い段階でファゴソームから解離することを見出した。また、③このVAMP5の解離はクラスリンとダイナミンの活性依存的であり、④VAMP5の解離阻害はSNAP23の立体構造に影響を与えファゴソーム成熟化が遅延することがわかった。 以上から、VAMP5を介するメンブレントラフィック機構が、自然免疫の最前線のファゴサイトーシス反応の厳密な制御に寄与することが明らかになった。

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