抄訳
細胞膜局在のSNAP23(synaptosomal-associated protein of 23 kDa)は膜融合装置SNAREタンパク質の一つであり、Fcγ受容体依存性ファゴサイトーシスに機能する。一方、細胞膜局在SNAREタンパク質であるVAMP5(vesicle-associated membrane protein 5)は、SNAP23との相互作用は知られているがファゴサイトーシスにおける機能は不明である。
本研究では、VAMP5を過剰発現あるいは発現抑制したマクロファージの解析から①VAMP5はファゴソーム形成に機能すること、また、②VAMP5とSNAP23はともに形成されたファゴソームに局在化するが、SNAP23とは異なりVAMP5は早い段階でファゴソームから解離することを見出した。また、③このVAMP5の解離はクラスリンとダイナミンの活性依存的であり、④VAMP5の解離阻害はSNAP23の立体構造に影響を与えファゴソーム成熟化が遅延することがわかった。
以上から、VAMP5を介するメンブレントラフィック機構が、自然免疫の最前線のファゴサイトーシス反応の厳密な制御に寄与することが明らかになった。