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2025/03/07

KAI2のシグナル伝達を活性化するリガンド分子の構造要求性の解明

論文タイトル
Structural requirements of KAI2 ligands for activation of signal transduction
論文タイトル(訳)
KAI2のシグナル伝達を活性化するリガンド分子の構造要求性の解明
DOI
10.1073/pnas.2414779122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.8
著者名(敬称略)
櫛原 立冬 竹内 純 他
所属
静岡大学農学部応用生命科学科植物化学研究室
著者からのひと言
本成果は,10年以上にわたって未発見なKAI2の植物内生リガンド(KL)の構造的特徴に関する新たな知見を提供するものであり,KLの探索研究を大きく前進させるものと期待されます。

抄訳

 KARRIKIN INSENSITIVE 2(KAI2)は山火事などで植物が燃焼した際の煙に含まれる発芽誘導物質カリキンと結合するタンパク質として同定されたが,未だ植物内生リガンド(KAI2 ligand; KL)は発見されていない。最近,KAI2のシグナル伝達機構に関してはその概要が明らかになってきたが,リガンド認識機構については未解明な点が残されている。本研究では,KAI2リガンドの構造要求性およびKAI2活性化機構の解明を目的として,KAI2アゴニスト(dMGer)を構造改変することで,KAI2によって加水分解されない分子構造としたdMGerアナログ(1'-carba-dMGerと6'-carba-dMGer)を設計した。合成したdMGerアナログのKAI2結合活性および植物に対する生理活性を詳細に解析した結果,KAI2のシグナル伝達には,リガンドがKAI2と結合するだけでは不十分であり,リガンドのブテノライド環が加水分解され,その後KAI2の触媒残基と共有結合を形成することが重要であると明らかにした。本知見は,KLもKAI2によって加水分解・切断されるブテノライド環を有していることを示唆している。

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