抄訳
〔背景〕本研究は、原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)における責任病変の腫瘍体積を術前臨床データから予測することを目的とする。PHPTの治療には副甲状腺摘出術が有効であり、術前診断には超音波検査、CT、MIBIシンチグラフィーが用いられるが、外科治療が不成功に終わることもある。責任病変のサイズと術前臨床データの関連が想定され、予測モデルも開発されているが、多数例での検討は少ない。〔方法〕2000年1月~2021年12月に当科で手術を受けたPHPT患者1106人を対象に、摘出した副甲状腺腫瘍の体積と術前臨床データの関連を多変量解析で評価した。〔結果〕腫瘍体積は術前血中intact PTH値(相関係数0.557)およびCa値(相関係数0.345)と正の相関を示した。重回帰分析では、男性、ln-PTH(intact PTHを対数変換したもの)、Ca値が腫瘍体積の有意な予測因子であり、モデルの調整済R²は0.325であった。〔結論〕術前血中intact PTH値は腫瘍体積と相関するが、正確な予測には限界があるものの、大まかな推定には活用可能である。