抄訳
従来から殺菌に使用されている紫外線(254-nm UVC)は哺乳類に対し有害である。一方、バンドパスフィルターを装着したKrClエキシマランプが発するUVC(filtered 222-nm Far-UVC)は殺菌作用を持つが哺乳類に対する安全性が高い。254-nm UVCは細菌にDNA損傷の一種であるシクロブタン型ピリミジン二量体 (CPD) を誘導し殺菌作用を示す。しかし細菌は光回復によってCPDを修復し増殖能を回復する。ところがfiltered 222-nm Far-UVCで大腸菌に誘導されたCPDは光回復で修復されなかった。さらにfiltered 222-nm Far-UVCを照射された大腸菌では活性酸素種(ROS)、カルボニル化タンパク質の増加、菌体の形態変化が見られた。これらの結果からfiltered 222-nm Far-UVCによって生成されたROSがその殺菌機序に重要な役割を果たしている可能性がある。