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2025/03/11

バンドパスフィルターを通過した222-nm遠紫外線によって生成される活性酸素種は大腸菌に対する殺菌機序において重要な役割を果たす

論文タイトル
Reactive oxygen species generated by irradiation with bandpass-filtered 222-nm Far-UVC play an important role in the germicidal mechanism to Escherichia coli
論文タイトル(訳)
バンドパスフィルターを通過した222-nm遠紫外線によって生成される活性酸素種は大腸菌に対する殺菌機序において重要な役割を果たす
DOI
10.1128/aem.01886-24
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology Vol.91 No.2
著者名(敬称略)
成田 浩司 中根 明夫 他
所属
弘前大学大学院医学研究科感染生体防御学講座
著者からのひと言
我々の研究室はfiltered 222-nm Far-UVCの病原体への殺菌有効性だけでなく、哺乳類での安全性についての研究を進めてきました。近年、医療環境や食品衛生分野等の感染リスクが高い領域の有人環境で、filtered 222-nm Far-UVCが利用され始めています。光回復は紫外線殺菌の課題の一つでした。殺菌用途において、filtered 222-nm Far-UVCにおける光回復阻害は大きなメリットです。光回復阻害の機序が明らかになることで、filtered 222-nm Far-UVCによる新たな殺菌戦略の構築が期待されます。

抄訳

従来から殺菌に使用されている紫外線(254-nm UVC)は哺乳類に対し有害である。一方、バンドパスフィルターを装着したKrClエキシマランプが発するUVC(filtered 222-nm Far-UVC)は殺菌作用を持つが哺乳類に対する安全性が高い。254-nm UVCは細菌にDNA損傷の一種であるシクロブタン型ピリミジン二量体 (CPD) を誘導し殺菌作用を示す。しかし細菌は光回復によってCPDを修復し増殖能を回復する。ところがfiltered 222-nm Far-UVCで大腸菌に誘導されたCPDは光回復で修復されなかった。さらにfiltered 222-nm Far-UVCを照射された大腸菌では活性酸素種(ROS)、カルボニル化タンパク質の増加、菌体の形態変化が見られた。これらの結果からfiltered 222-nm Far-UVCによって生成されたROSがその殺菌機序に重要な役割を果たしている可能性がある。

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