抄訳
DPP-4阻害薬の継続と経口セマグルチド(セマ)への切替えのいずれが膵β細胞機能に有益かを検証するために、多施設共同ランダム化比較試験SWITCH-SEMA2の事後解析を行った。DPP-4阻害薬で治療下の2型糖尿病患者で同薬を継続した群(DPP-4i群)とセマに切替えた群(セマ群)のうち、膵β細胞機能が保持された集団を対象に24週におけるHOMA2指数と膵β細胞機能指標Disposition index (DI)の変化を検討した。
DPP-4i群77名、セマ群69名が対象となり、セマ群でHOMA-2β・DIは有意に改善した(それぞれP=0.001, P<0.001)。セマ群におけるDIの改善はBMI・HbA1c・脂肪性肝疾患の指標であるFatty liver index(FLI)と有意に相関し、多変量解析ではセマ投与量(7mg/日以上)・FLIの改善・メトホルミンの不使用が、DI改善に対する独立した因子であった。
【結語】DPP-4阻害薬からセマへの切替えは膵β細胞機能を改善させ、この作用は肝臓と膵β細胞の臓器間クロストークを介している可能性が示唆された。