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2025/04/03

緑藻クラミドモナスのFBB18タンパク質は、繊毛ダイニンの細胞質前集合に必須な新規ユビキチン様タンパク質である

論文タイトル
Chlamydomonas FBB18 is a ubiquitin-like protein essential for the cytoplasmic preassembly of various ciliary dyneins
論文タイトル(訳)
緑藻クラミドモナスのFBB18タンパク質は、繊毛ダイニンの細胞質前集合に必須な新規ユビキチン様タンパク質である
DOI
10.1073/pnas.2423948122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.12
著者名(敬称略)
山本 遼介 昆 隆英 他
所属
大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻細胞構築学研究室
著者からのひと言
本研究は、繊毛ダイニンの構築因子 (前集合因子) であるFBB18が新規のユビキチン様タンパク質であるという、予想外の事実を明らかにしたものです。この発見は、FBB18のヒトオーソログの異常により引き起こされる原発性繊毛運動不全症の発症機構の理解や、繊毛ダイニン前集合機構の更に詳細な分子基盤解明の一助になると期待されます。

抄訳

「繊毛ダイニン」は、細胞小器官「運動性繊毛」を駆動するモータータンパク質複合体である。繊毛ダイニンは、繊毛内に運び込まれてモーターとして機能する前に、細胞質内で前集合と呼ばれる機構により各サブユニット (重鎖/中間鎖/軽鎖) から組み立てられるが、前集合機構の分子基盤には不明な点が多い。我々は、緑藻クラミドモナスを用い、FBB18と呼ばれるタンパク質が繊毛ダイニン前集合に必須であり、恐らくは繊毛ダイニン重鎖の正確な折り畳みに関与していることを示した。また、FBB18が両端に球状ドメインを持つダンベル様の構造を持つことを明らかにした。興味深いことに、片方の球状ドメインはユビキチン (タンパク質分解のマーカーとなる小分子) と高度な類似性を示した。本研究は、繊毛ダイニン前集合因子であるFBB18が新規のユビキチン様タンパク質であることを初めて示したものであり、前集合機構の生物進化における起源や分子進化に重要な示唆を与えると共に、ユビキチン様タンパク質の全く新しい細胞内機能を提示したものである。

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