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2025/04/14

蛍光顕微鏡観察に基づいたトリコスポロン酵母の種間多様性解析

論文タイトル
Analyses of hyphal diversity in Trichosporonales yeasts based on fluorescent microscopic observations
論文タイトル(訳)
蛍光顕微鏡観察に基づいたトリコスポロン酵母の種間多様性解析
DOI
10.1128/spectrum.03210-24
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiology Spectrum Vol. 13, No. 4
著者名(敬称略)
青木 敬太 他
所属
東京農業大学総合研究所酵母多様性生物学・分類学研究室
著者からのひと言
現在,酵母は世界中で2,000種程存在すると考えられていますが,私達が利用しているのは子嚢菌のパン酵母などごく僅かです.酵母の研究は歴史的に子嚢菌の酵母をモデルに進みましたが,担子菌にも面白い酵母がたくさんいます.今回の我々の研究でも,トリコスポロン目酵母の様々な性質が明らかになりました.今後,子嚢菌酵母にはないユニークな性質を見つけられるのではないかと期待しています.

抄訳

担子菌のトリコスポロン目には,酵母型と菌糸型を持つ二形性の酵母が多く分類されます.菌糸型は真菌症の原因となるため,二形性の機序や種の簡便な同定法は重要な課題になります。私達は今までに,重症化すると死ぬこともある深在性トリコスポロン症の原因菌の菌糸がマグネシウムを添加することにより過度に伸長することを見つけていました.本論文では,この効果がトリコスポロン目の二形性酵母の間で共通かどうかを調べると共に,酵母の分類指標の一つになるかどうかを検討しました.その結果,マグネシウムの菌糸伸長効果はトリコスポロン目の二形性酵母で共通なことがわかりました.一方,菌糸の伸長と共に現れる隔壁の多重化や液胞の増大といった特徴はトリコスポロン目の中でもトリコスポロン属に偏って現れることがわかりました.よって,本研究の成果は,菌糸の形成メカニズムや分類研究に役立つと期待されます.

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