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2025/04/21

原核生物における生体膜曲率認識タンパク質の探索・分析技術

論文タイトル
Exploration and analytical techniques for membrane curvature-sensing proteins in bacteria
論文タイトル(訳)
原核生物における生体膜曲率認識タンパク質の探索・分析技術
DOI
10.1128/jb.00482-24
ジャーナル名
Journal of Bacteriology
巻号
Journal of Bacteriology Vol. 207, No. 4
著者名(敬称略)
児美川 拓実 田中 祐圭 他
所属
東京科学大学物質理工学院生体分子化学研究室
著者からのひと言
曲率認識タンパク質は、生体膜の曲面構造を認識することで様々な細胞機能と密接に関与するタンパク質で、近年原核生物においても曲率認識タンパク質の存在が明らかになってきました。本総説は、原核生物の既知の曲率認識タンパク質を整理するとともに、in vitroや細胞での評価法に加えて、新規の曲率認識タンパク質を網羅的に探索する手法を紹介しています。これにより、原核生物においても新たな曲率認識タンパク質の発見と膜形態制御機構の解明が進むのではないかと期待しています。

抄訳

細胞内におけるタンパク質の局在性を制御するメカニズムは微生物学において重要なトピックの一つである。そのうち、生体膜の曲面形状(曲率)が細胞内においてタンパク質の局在を決める空間的な手がかりとなることが示されている。このような特定の曲率をもった生体膜と相互作用する「曲率認識タンパク質」は、細胞分裂や膜で囲まれたオルガネラ様構造の形成に関与している。本総説では、人工的に形状制御した生体膜と精製タンパク質を用いた曲率認識能のin vitro評価や生細胞を用いた評価法についての最近の研究を紹介する。しかし、これらの曲率認識能の評価は労力がかかることから、同定された曲率認識タンパク質の数は限られている。そこで、曲率認識能に基づく網羅的な探索法についても紹介する。加えて、既に細菌において明らかになっている曲率認識タンパク質とその分析法について整理するとともに、本研究領域の今後の展望について議論した。

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