本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2025/05/01

マウス成熟脂肪細胞におけるMOB1欠失は食事性肥満や糖尿病発症を改善する
 

論文タイトル
MOB1 deletion in murine mature adipocytes ameliorates obesity and diabetes
論文タイトル(訳)
マウス成熟脂肪細胞におけるMOB1欠失は食事性肥満や糖尿病発症を改善する
DOI
10.1073/pnas.2424741122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
PNAS 122 (117) e2424741122  April 21, 2025
著者名(敬称略)
西尾 美希、山口 慶子、 大谷 淳二、前濱 朝彦、鈴木 聡 他
所属
神戸大学大学院医学研究科 生化学・分子生物学講座 分子細胞生物学分野
日本バプテスト病院
著者からのひと言
成熟脂肪細胞におけるYAPの活性化が食事性肥満抵抗性・糖尿病発症抑制に作用することを解明し、またFGF21がYAPの直接の転写標的となって、YAPの作用を発揮することを示しました。

抄訳

肥満関連疾患が世界的に増加している。YAP1/TAZはマウス未熟脂肪細胞においてPPARγ活性を阻害して細胞分化を抑制することから、潜在的な治療標的として注目されていた。しかし、成熟脂肪細胞におけるYAP1活性化の役割は不明であった。肥満で発現が増加するMOB1は、YAP1/TAZ活性化を負に制御する。そこで、成熟脂肪細胞特異的にMOB1が欠損するマウス(aMob1DKOマウス)を作製した。高脂肪食を与えたaMob1DKOマウスは、基礎脂肪分解亢進、白色脂肪細胞の褐色化、エネルギー消費の増加、活性酸素産生や炎症の抑制を示し、食事誘発性肥満抵抗性、インスリン感受性や耐糖能の改善、異所性脂肪蓄積の減少をみた。これらの変化のほとんどは、YAP1の活性化に依存していた。また脂質代謝を改善するFGF21は、YAP1の活性化を介して直接アップレギュレートされ、aMob1DKOマウスの表現型の多くは、増加したFGF21に依存していた。われわれの研究は、YAPが新たなFGF21制御因子であることを示し、YAP1-FGF21軸が肥満の治療標的となる可能性を示唆した。

 

 

論文掲載ページへ