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2025/05/12

シグマ因子の活性を調節するFecRタンパク質の連続的な切断が,TonB依存的なシグナル伝達を制御する

論文タイトル
Cleavage cascade of the sigma regulator FecR orchestrates TonB-dependent signal transduction
論文タイトル(訳)
シグマ因子の活性を調節するFecRタンパク質の連続的な切断が,TonB依存的なシグナル伝達を制御する
DOI
10.1073/pnas.2500366122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.16
著者名(敬称略)
横山達彦 久堀智子 秋山芳展 他
所属
岐阜大学 大学院 医学系研究科 病原体制御学分野
著者からのひと言
私たちは,膜タンパク質を膜中で切断する特殊なプロテアーゼの切断基質を探索する過程で,FecRタンパク質が細胞内で連続的な切断を受けることを見出し,2021年に報告しました(Yokoyama et al., J. Biol. Chem., 2021).本研究ではこの発見を出発点として,FecRを介した鉄シグナル伝達機構の全体像を明らかにしました.今後,同様のタイプのシグナル伝達機構を理解する上で,本研究が重要な礎となることを願っています.最後に,本研究の土台となった膨大な研究を推進し,本研究領域の発展にご貢献されてきた,Max Planck Institute for Biology(ドイツ)のVolkmar Braun博士に心から敬意を表します.(横山達彦)

抄訳

生命にとって鉄は不可欠な元素であるが,環境中には微量しか存在しない.そのため,生命は外界の鉄を細胞内に取り込むシステムを高度に進化させて来た.細菌は外界環境の鉄を感知し,それに応じて鉄取り込みに関わる因子の発現を活性化するが,鉄を感知する分子メカニズムの全容は,長年にわたり明らかにされてこなかった.
グラム陰性細菌は外界の鉄を取り込む際に,分子モーターであるTonB-ExbBD複合体が生み出す機械的な力を利用することが知られている.本研究ではこの機械的な力が,シグナル伝達を担う膜タンパク質FecRにも伝わり,FecRの連続的な切断を引き起こすことを突き止めた.そして,この切断によって生じたFecR断片が,鉄の取り込みに必要な遺伝子群の発現を誘導することを明らかにした.本研究は,タンパク質切断を介したシグナル伝達の新たなメカニズムを提示し,生体機能制御の基盤となる仕組みの一端を明らかにしたものである.

内容の詳細は下記よりご覧ください.
プレスリリース:https://www.gifu-u.ac.jp/news/research/2025/04/entry18-14282.html

 

 

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