抄訳
腸内細菌に保存されている多糖類である腸内細菌共通抗原(ECA)のストレス耐性における役割は不明である。脂質結合型 ECA 繰り返し単位はECAフリッパーゼWzxEによって内膜を透過させられた後、ECAとなる。本研究では、ECAフリッパーゼWzxEの欠損株が酸性環境、低温環境、高浸透圧環境に対してコラン酸依存的に感受性を示すことを明らかにした。この結果は、脂質結合型 ECA 繰り返し単位が、コラン酸依存的に大腸菌の酸性環境、低温環境、高浸透圧環境に対する感受性を引き起こすことを示唆している。脂質結合型 ECA 繰り返し単位が WzxE と脂質結合型コラン酸繰り返し単位のフリッパーゼの両方によって内膜を透過させられる知見を考慮すると、WzxE欠損株の表現型のコラン酸依存性は、ストレス条件下で大量に産生されたコラン酸が脂質結合型コラン酸繰り返し単位のフリッパーゼを占有し、その結果、内膜上に脂質結合型 ECA 繰り返し単位が蓄積するモデルを提示している。