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2025/07/04

呼吸筋表面筋電図の取得と半自動解析

論文タイトル
Acquisition and Semi-Automated Analysis of Respiratory Muscle Surface Electromyography
論文タイトル(訳)
呼吸筋表面筋電図の取得と半自動解析
DOI
10.3791/67157-v7
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (215), e67157
著者名(敬称略)
Antenor Rodrigues 松村 海 他
所属
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
社会福祉法人致遠会 サンハイツ
著者からのひと言
呼吸筋EMGの強さ,タイミングの評価においてEMG信号の取得・計測から信号解析まで,簡便に行う手法を概説している.本法は人為的な解析に比べて,60倍以上の速さで呼吸筋EMGの信号処理ができ,評価者の主観ではなく客観的な指標を提唱する.本法は臨床において吸気負荷と呼吸筋の働きに関するメカニズムに関しての洞察を深めることに有用であると考える.

抄訳

呼吸困難等の呼吸器症状の病態を理解するために,呼吸駆動(呼吸中枢からの指令によって,呼吸運動)を評価することが望ましい.呼吸駆動の評価法の1つに,呼吸筋の筋電図(electromyography: EMG)があげられる.呼吸筋EMGの強度は筋収縮の強さや動員される筋線維数を反映し,EMGのタイミングは吸気流の生成に対しての筋活動の開始や収束を示す.EMGの強度やタイミングは,呼吸負荷がかかるような呼吸器疾患の病態を把握する上で,呼吸筋の協調運動や呼吸中枢からの抑制信号を理解する上で重要となる.本論文では,4つの呼吸筋EMGの計測(皮膚処理,EMG電極貼付)と解析(EMG信号のフィルタリングと変換,吸気流量に対しての筋活動の開始や収束の同定法)について述べる.健常男性を対象に,漸増吸気閾値負荷試験を行い,本法を検証した結果,吸気負荷が高いほど横隔膜以外の呼吸筋活動の開始が早く,活動持続時間は長かった.また,吸気負荷がかかった状態における呼吸筋EMGのタイミングの変化は,EMG振幅の増加と相関が見られた.本法は臨床において呼吸筋活動を定量化し,正常状態および吸気負荷がかかった状態における呼吸筋の運動制御戦略に関する知見を提唱する.

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