本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2025/07/17

フロリゲンの細胞間移行は低温環境下においてアブシシン酸シグナリングを介して抑制される

論文タイトル
Cell-to-cell translocation of florigen is inhibited by low ambient temperature through abscisic acid signaling in Arabidopsis thaliana
論文タイトル(訳)
フロリゲンの細胞間移行は低温環境下においてアブシシン酸シグナリングを介して抑制される
DOI
10.1073/pnas.2507987122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.28
著者名(敬称略)
村田 裕介 阿部 光知 他
所属
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻

抄訳

花成ホルモン“フロリゲン”は植物の花芽形成を促す鍵分子であり、シロイヌナズナではFLOWERING LOCUS T(FT)タンパク質がその分子実体である。FTは、花芽形成に適した環境下において葉で産生された後、葉から茎の先端部(茎頂分裂組織)へと輸送され、茎頂分裂組織内部で機能発揮する。これまでに、葉におけるFTの産生に関する多くの知見が報告されてきたが、FT輸送に関する知見は乏しく、特に茎頂分裂組織周辺におけるFT輸送機構はほとんど明らかにされていない。本論文では、シロイヌナズナ体内においてFTの局在を可視化し、茎頂分裂組織におけるFT輸送機構について詳細な解析を行なった。その結果、FTは原形質連絡(隣接した細胞間をつなぐ植物に特有の微細なトンネル構造)を介して細胞間を移行すること、並びに、低温などの環境要因に応じた原形質連絡透過性の変化がFTの細胞間移行制御に関与することが明らかとなった。

 

論文掲載ページへ