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2025/07/23

グルココルチコイド療法を新規に開始する患者における、ロモソズマブ、デノスマブ、リセドロネートの治療効果の比較

論文タイトル
Comparison of Efficacy of Romosozumab With Denosumab and Risedronate in Patients Newly Initiating Glucocorticoid Therapy
論文タイトル(訳)
グルココルチコイド療法を新規に開始する患者における、ロモソズマブ、デノスマブ、リセドロネートの治療効果の比較
DOI
10.1210/clinem/dgae810
ジャーナル名
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Volume 110, Issue 8, e2778-e2786
著者名(敬称略)
川添 麻衣, 南木 敏宏 他
所属
東邦大学 医学部 内科学講座膠原病学分野(大森)
著者からのひと言
これまでに我々は、グルココルチコイド開始後早期にWntシグナル抑制因子であるsclerostinが増加することを報告し、ROMOがGIOPに有効であると期待していました。本研究では、GIOP におけるROMOの有効性を、既存治療薬2剤とのランダム化比較試験で明らかにしました。本研究結果は、ROMOが今後のGIOPに対する治療選択肢の一つとなるエビデンスになると考えています。

抄訳

近年、骨形成および骨吸収におけるWntシグナルの関与が解明され、Wntシグナルの抑制因子であるsclerostinに対する抗体製剤(ロモソズマブ; ROMO)が上市されたが、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)に対する有効性は明らかではない。そこで、プレドニゾロン(PSL)換算15mg/日以上を新規に開始する膠原病患者を対象とし、骨粗鬆症治療薬をROMO、デノスマブ(DMAb)、リセドロネート(BP)に無作為に割り付け、有効性を比較した(ROMO群11例、DMAb群14例、BP群14例)。平均年齢はいずれも70歳台で、男女比や一日PSL投与量は3群に有意差はなかった。主要評価項目である12ヵ月後の腰椎骨密度のベースラインからの変化率(中央値)はROMO群で最大であった(ROMO群、DMAb群、BP群:8.6%、3.3%、−0.4%)。骨形成マーカーの低下はROMO群で最も小さく、ROMOがグルココルチコイドによる骨形成抑制に対し保護的に作用する可能性が示唆された。新規骨折の累計発生頻度はROMO群で低い傾向であった。これらの結果から、GIOPにおいてもROMOは有効であることが示された。

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