抄訳
近年、骨形成および骨吸収におけるWntシグナルの関与が解明され、Wntシグナルの抑制因子であるsclerostinに対する抗体製剤(ロモソズマブ; ROMO)が上市されたが、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)に対する有効性は明らかではない。そこで、プレドニゾロン(PSL)換算15mg/日以上を新規に開始する膠原病患者を対象とし、骨粗鬆症治療薬をROMO、デノスマブ(DMAb)、リセドロネート(BP)に無作為に割り付け、有効性を比較した(ROMO群11例、DMAb群14例、BP群14例)。平均年齢はいずれも70歳台で、男女比や一日PSL投与量は3群に有意差はなかった。主要評価項目である12ヵ月後の腰椎骨密度のベースラインからの変化率(中央値)はROMO群で最大であった(ROMO群、DMAb群、BP群:8.6%、3.3%、−0.4%)。骨形成マーカーの低下はROMO群で最も小さく、ROMOがグルココルチコイドによる骨形成抑制に対し保護的に作用する可能性が示唆された。新規骨折の累計発生頻度はROMO群で低い傾向であった。これらの結果から、GIOPにおいてもROMOは有効であることが示された。