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2025/07/25

ニューロメジンU欠損によりラットのテストステロンの日内リズムが乱れ、輪まわし活動が減少する

論文タイトル
Neuromedin U Deficiency Disrupts Daily Testosterone Fluctuation and Reduces Wheel-Running Activity in Rats
論文タイトル(訳)
ニューロメジンU欠損によりラットのテストステロンの日内リズムが乱れ、輪まわし活動が減少する
DOI
10.1210/endocr/bqaf102
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 166, Issue 8, August 2025, bqaf102
著者名(敬称略)
大塚 舞 相澤 清香 他
所属
岡山大学大学院環境生命自然科学研究科(理学部生物学科)分子内分泌学研究室
著者からのひと言
本研究は、ペプチドホルモン「ニューロメジンU」がオスのテストステロン日内リズムと運動意欲を制御することを世界で初めて示しました。ホルモンとモチベーション行動の関係を解明する新しい知見であり、やる気や意欲の低下に関わる精神疾患研究にも新たな展望を与える成果です。

抄訳

本研究では、ニューロメジンU(NMU)の生理的役割を明らかにするため、NMUノックアウト(KO)ラットを解析した。オスのNMU KOラットでは、野生型(WT)と比較して回し車を走る「輪まわし活動」が有意に減少していた。一方で、飼育ケージ内での全体的な活動量には変化はなかった。WTラットのオスでは血中テストステロン濃度が日内で変動し、朝に高く夜に低下していたのに対し、NMU KOラットでは1日のピークがみられず、日内リズムが消失していた。NMU KOラットにテストステロンを慢性的に投与すると、輪まわし活動はWTと同程度に回復した。また、NMU KOラットでは下垂体における黄体形成ホルモンの発現や、LH産生細胞の大きさが低下していた。脳において、NMUは下垂体隆起部に高発現し、その受容体は第三脳室上衣細胞層のタニサイトに強く発現していた。以上より、NMUはテストステロンのリズム調節を介して、自発的な運動行動、モチベーション行動の制御に関与する新規機能が明らかになった。

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