抄訳
レーザーマイクロダイセクションを用いた選択的組織採取と次世代シーケンシング技術を用いたゲノム解析によって、子宮腺筋症上皮において、KRAS、PIK3CA、ARID1A、FBXW7などのがん関連遺伝子の体細胞変異や一番染色体長腕のコピー数増加が高頻度に存在することが分かった。これらのゲノム異常が子宮腺筋症の発生および進展に関連すると考えられる。また、複数の腺筋症病変および正常子宮内膜の間で変異クローンの関係を精査した。同一症例の子宮腺筋症と正常子宮内膜上皮で体細胞変異の共有が認められたことから、子宮腺筋症は子宮内膜上皮を起源として発生することが分かった。同一変異クローンに由来する腺筋症病変が子宮の広範な領域に増殖しているケースも観察された。さらに、同一症例において複数の異なる変異クローンに由来する腺筋症病変が認められたことから、腺筋症はオリゴクローン性に増殖するユニークな特徴を有する疾患であることが分かった。