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2025/07/28

子宮腺筋症における体細胞変異プロファイルと染色体異常

論文タイトル
Mutation profile and chromosomal abnormality in adenomyosis
論文タイトル(訳)
子宮腺筋症における体細胞変異プロファイルと染色体異常
DOI
10.1530/REP-25-0132
ジャーナル名
Reproduction
巻号
Reproduction Volume 170: Issue 2
著者名(敬称略)
須田 一暁 中岡 博史 他
所属
新潟大学医学部産科婦人科
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 医療情報解析学講座 データサイエンス分野
著者からのひと言
私たちの研究グループはヒト子宮内膜の基底層付近に網目状構造を呈する上皮組織が存在することを発見し、その形態から地下茎構造と名付けました。また、一見正常な子宮内膜組織において、がん関連遺伝子に体細胞変異を獲得した細胞が子宮内膜の三次元空間において増殖するメカニズムに地下茎構造が関与していることを明らかにしました。本研究で同一変異クローンに由来する子宮腺筋症病変が子宮の広範な領域に観察されることを示しました。この背景に、私たちが発見した地下茎構造が関与している可能性があります。研究をさらに進め、子宮腺筋症の発症機序解明につなげたいと考えています。

抄訳

レーザーマイクロダイセクションを用いた選択的組織採取と次世代シーケンシング技術を用いたゲノム解析によって、子宮腺筋症上皮において、KRAS、PIK3CA、ARID1A、FBXW7などのがん関連遺伝子の体細胞変異や一番染色体長腕のコピー数増加が高頻度に存在することが分かった。これらのゲノム異常が子宮腺筋症の発生および進展に関連すると考えられる。また、複数の腺筋症病変および正常子宮内膜の間で変異クローンの関係を精査した。同一症例の子宮腺筋症と正常子宮内膜上皮で体細胞変異の共有が認められたことから、子宮腺筋症は子宮内膜上皮を起源として発生することが分かった。同一変異クローンに由来する腺筋症病変が子宮の広範な領域に増殖しているケースも観察された。さらに、同一症例において複数の異なる変異クローンに由来する腺筋症病変が認められたことから、腺筋症はオリゴクローン性に増殖するユニークな特徴を有する疾患であることが分かった。

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