抄訳
サイトカラシンDはアクチンフィラメント(線維)の重合を阻害する薬剤として広く使われていますが、その作用機構は分子レベルでは未解明でした。本研究では、TIRF顕微鏡、結晶構造解析、分子動力学シミュレーションを組み合わせて、サイトカラシンDの濃度に応じた3段階の作用を明らかにしました。低濃度では線維中の2本のプロトフィラメントの一方に結合する“ゆるい”キャップとして作用します。中濃度では2分子が強固に結合して線維端を安定化させ、高濃度では線維を切断します。1.7Å分解能で捉えた構造変化は、アクチン制御における適切な薬剤使用への指針となる知見を提供します。