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2025/07/31

サイトカラシンDによるアクチン重合阻害と切断の分子機構:TIRF顕微鏡と結晶構造解析による解明

論文タイトル
Microscopic and structural observations of actin filament capping and severing by cytochalasin D
論文タイトル(訳)
サイトカラシンDによるアクチン重合阻害と切断の分子機構:TIRF顕微鏡と結晶構造解析による解明
DOI
10.1073/pnas.2502164122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.29
著者名(敬称略)
三谷隆大 藤原郁子 武田修一 他
所属
長岡技術科学大学 大学院工学研究科 物質生物系
著者からのひと言
長年の疑問だった「サイトカラシンDがどうやってアクチンの伸び縮みを止めているのか」を、世界で初めて分子レベルで明らかにできました。1本のアクチン線維をリアルタイムに観察し、原子分解能で構造変化を捉えられたのは非常に感慨深く、今後の薬剤開発や基礎研究に役立つことを期待しています。

抄訳

サイトカラシンDはアクチンフィラメント(線維)の重合を阻害する薬剤として広く使われていますが、その作用機構は分子レベルでは未解明でした。本研究では、TIRF顕微鏡、結晶構造解析、分子動力学シミュレーションを組み合わせて、サイトカラシンDの濃度に応じた3段階の作用を明らかにしました。低濃度では線維中の2本のプロトフィラメントの一方に結合する“ゆるい”キャップとして作用します。中濃度では2分子が強固に結合して線維端を安定化させ、高濃度では線維を切断します。1.7Å分解能で捉えた構造変化は、アクチン制御における適切な薬剤使用への指針となる知見を提供します。

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