抄訳
植物は,気孔の開閉を通じて水分の蒸散を調節し,乾燥や病原菌などの環境ストレスに応答して気孔は閉鎖します.この時,孔辺細胞の細胞膜に存在するGORKチャネル(K⁺チャネル)が活性化し,孔辺細胞内のK⁺濃度が低下します.本論文では,GORKのpre-open状態およびclosed状態の分子構造を決定し,電気生理測定と円二色性解析を用いて,細胞質側C末領域の「環状ヌクレオチド結合ドメイン直後のCNBD–Ankyrin bridge」がGORKの活性化および不活化状態の制御に関与していることを明らかにしました.さらに,CNBD–Ankyrin bridge 内のセリン残基の(脱)リン酸化によるC末構造領域の構造変化を介して,GORKのK⁺チャネル活性が制御されていることを示しました.