本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2025/08/12

宿主真菌集団における持続的RNAウイルスのプラスミド様動態

論文タイトル
Plasmid-like dynamics of persistent RNA viruses in the host fungal population
論文タイトル(訳)
宿主真菌集団における持続的RNAウイルスのプラスミド様動態
DOI
10.1128/jvi.00582-25
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology Ahead of Print
著者名(敬称略)
千葉 悠斗 浦山 俊一 他
所属
国立大学法人 筑波大学 微生物サステイナビリティ研究センター[MiCS]
著者からのひと言
プラスミドのような生き方をしているRNAウイルスの話をすると、「それはRNAウイルスなの?」という質問をよく頂きます。この問いを持つと、「RNAウイルスって何だっけ?」という、それまで“当然”と思っていたものに意識が向きます。世界観の変質をお楽しみいただける論文です。

抄訳

ウイルスは感染を拡大させる侵略者としてのイメージが強いが、全てのウイルスがそのような戦略を取っているわけではない。本研究でモデルとして利用したRNAウイルスは、宿主微生物(糸状菌)と共存し続ける戦略を有している。つまり、宿主の細胞内で大人しく暮らしており、細胞を食い破って外に出てまた新しい細胞に感染することを止めた生き方をしている。このようなRNAウイルスが、どのようなメカニズムで長きにわたり宿主集団中で維持されてきたのか、本研究ではそのメカニズムに実験的に迫った。結果、以前から想定されていた通り、ウイルスの伝播・脱離+宿主の適応度変化の総和が重要であることが明らかとなった。面白いことに、このメカニズムはプラスミドが細菌集団内で維持されてきた機構と類似しており、そのRNAウイルスの存在意義を考えるうえで重要な知見になると期待される。

論文掲載ページへ