抄訳
Corynebacterium jeikeiumのゲノム的特徴や治療法は未解明な点が多い。本研究では、まず単施設のC. jeikeium感染症6例(MALDI-TOF MSにより同定)の原因菌株の全ゲノム解析を行い、これらが全て遺伝学的にはCorynebacterium macclintockiaeと同定されることを確認した。さらに全国8施設から収集した血流感染症由来のC. jeikeium 33株についても全ゲノム解析を行ったところ、うち32株はC. macclintockiaeと同定された。C. macclintockiaeは多剤耐性を示したが、テイコプラニンを含めた抗MRSA薬の感受性は良好であり、全体の約60%を占めるtet(W)非保有株ではテトラサイクリン系にも感性を示した。世界各国から公共データーベースに登録されたC. jeikeiumおよび近縁菌(C. jeikeium complex)の27株の全ゲノム解析データを加えた解析でも、遺伝学的には約77%がC. macclintockiaeと同定された。