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2025/08/25

Corynebacterium jeikeium complexにおいてヒトに感染症をきたす主要菌種であるCorynebacterium macclintockiaeのゲノム疫学と抗菌薬耐性

論文タイトル
Genomic epidemiology and antimicrobial resistance of Corynebacterium macclintockiae, the predominant species of human pathogens within the Corynebacterium jeikeium complex
論文タイトル(訳)
Corynebacterium jeikeium complexにおいてヒトに感染症をきたす主要菌種であるCorynebacterium macclintockiaeのゲノム疫学と抗菌薬耐性
DOI
10.1128/jcm.00500-25
ジャーナル名
Journal of Clinical Microbiology
巻号
Journal of Clinical Microbiology 2025 Aug 13;63(8):e0050025
著者名(敬称略)
原田 壮平 他
所属
東邦大学 医学部 微生物・感染症学講座
著者からのひと言
Corynebacterium属菌は一般的には病原性が低いと考えられていますが、C. jeikeiumは免疫不全者の感染症の起因微生物となり、多剤耐性を示すことが知られています。本研究では病院の検査室でC. jeikeiumと同定された臨床分離株のほとんどが、全ゲノム解析では2023年に報告された新種であるC. macclintockiaeと同定されました。公共データーベースを用いた解析からは本菌種が日本国外にも広く分布していることが示唆されましたが、疫学的背景や臨床的特徴については未解明な点が多く、今後の検討が待たれます。

抄訳

Corynebacterium jeikeiumのゲノム的特徴や治療法は未解明な点が多い。本研究では、まず単施設のC. jeikeium感染症6例(MALDI-TOF MSにより同定)の原因菌株の全ゲノム解析を行い、これらが全て遺伝学的にはCorynebacterium macclintockiaeと同定されることを確認した。さらに全国8施設から収集した血流感染症由来のC. jeikeium 33株についても全ゲノム解析を行ったところ、うち32株はC. macclintockiaeと同定された。C. macclintockiaeは多剤耐性を示したが、テイコプラニンを含めた抗MRSA薬の感受性は良好であり、全体の約60%を占めるtet(W)非保有株ではテトラサイクリン系にも感性を示した。世界各国から公共データーベースに登録されたC. jeikeiumおよび近縁菌(C. jeikeium complex)の27株の全ゲノム解析データを加えた解析でも、遺伝学的には約77%がC. macclintockiaeと同定された。

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