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2025/08/25

マウス鼻腔洗浄液の採集法:最大限の収量と最小限の血液混入を達成 

論文タイトル
Murine Nasal Lavage Fluid Collection without Blood Contamination
論文タイトル(訳)
マウス鼻腔洗浄液の採集法:最大限の収量と最小限の血液混入を達成
DOI
10.3791/68451-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments (JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (221), e68451
著者名(敬称略)
Ijaz Ahmad*(イジャーズ・エフマド)佐藤 文孝* 角田 郁生 他
所属
近畿大学医学部微生物学講座
著者からのひと言
鼻腔洗浄液(NLF)は、新型コロナウイルスを含む呼吸器ウイルス感染時に、ウイルスとIgAの定量に使用されます。ヒトNLF採取においては、血液混入は問題となりませんが、マウス・ラットでは血液混入を最小限にするために経気管支法が使用されてきましたが、NLF収量が低いことが問題です。そこで本論文では、NLFを大量に採取できる経咽頭法を改良することで、血液混入を最小限にし、かつ高いNLF収量が達成できる新手法を紹介しています。また、血液の混入をルミノール反応で高感度かつ安価に検出する手法も紹介しています。

抄訳

鼻腔洗浄液(nasal lavage fluid,NLF) には、鼻粘膜のIgA抗体やウイルス・細菌が含まれており、ワクチンや感染症の際に、粘膜免疫測定や病原体同定に使用される。マウスとラットからNLFを採取するルートとして、後鼻孔にカテーテルを挿入しNLFを鼻孔から回収する経咽頭法が、回収量が多いため有用であるが血液の混入が問題である。例として、IgA濃度はNLFより血液で高いため、NLF採取においては、血液の混入を避けることが必須となる。本論文では、経咽頭法を施行する際に、動物の口腔内に綿球を挿入し血液を吸収させることで、NLFへの血液混入を最小限にする新規のNLF採取法を紹介する。この新規NLF採取法が、従来の手法に比べ、血液混入が最小限であることを以下の二つの方法で明らかにした。1)法医学に頻用されるルミノール反応により、簡便かつ高感度でヘモグロビン濃度を測定。2)ELISA法によりIgA濃度を、NLFと血清で定量。

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