抄訳
メタン酸化細菌は、自然由来および人為由来のメタンを酸化することで地球規模の炭素循環において重要な役割を担っている。これまでの研究では、主にPseudomonadota門、Verrucomicrobiota門の好気性メタン酸化細菌に焦点が当てられてきた。実は、40年前にメタン酸化能を有するグラム陽性のActinomycetota門に属する細菌もメタン酸化能を有すると報告されていたが、分離株も保存されておらず、続報もないことから、メタン酸化細菌群として認識されてこなかった。本研究では、Actinomycetota門Mycobacterium属に属するメタン酸化細菌MM-1株を分離培養し、初めてその特徴を明らかにした。これは第三の好気性メタン酸化細菌の門の確立を意味する。MM-1株は従来のメタン酸化細菌に比べて広いpH耐性と高いアンモニア耐性を示し、新たなアンモニア耐性機構の存在を示唆する。さらに、16S rRNA遺伝子解析により、MM-1株と近縁な配列が、飲料水システムを含む多様な環境で検出されており、既知のメタン酸化細菌が生存困難な環境において重要なメタンシンクとして機能する可能性が示された。