抄訳
骨格筋収縮に必要なカルシウムイオン(Ca2+)は細胞内貯蔵部位の筋小胞体から1型リアノジン受容体(RyR1)チャネルを介して遊離される。RyR1は、T管膜のジヒドロピリジン受容体と共役した脱分極誘発性Ca2+遊離(DICR)と、Ca2+が直接結合して開くCa2+誘発性Ca2+遊離(CICR)の二つの開口機構を持つ。生理的な筋収縮においてはDICRが主な開口機構であるが、CICRがCa2+シグナルの増幅を起こすか否かという議論が半世紀にわたって続いてきた。われわれはRyR1のCa2+結合部位を改変してCICRだけを抑制したマウスを作出した。変異マウスは筋収縮や運動能力に影響は見られなかったが、RyR1の異常活性化が原因で起こる悪性高熱症に対して抵抗性を示した。以上の結果から、CICRは生理的な筋収縮には関与しておらず、むしろ過剰になると筋疾患の原因となることが示唆された。