本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2025/09/08

エチレン-α-オレフィン共重合体を用いて単離されたHalopseudomonas aestusnigriの完全ゲノム配列

論文タイトル
Complete genome sequence of the first Halopseudomonas aestusnigri strain isolated using an ethylene-α-olefin co-oligomer
論文タイトル(訳)
エチレン-α-オレフィン共重合体を用いて単離されたHalopseudomonas aestusnigriの完全ゲノム配列
DOI
10.1128/mra.00589-25
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiology Resource Announcements Ahead of Print
著者名(敬称略)
飯塚 怜、上村 想太郎
所属
東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 光計測生命学講座
著者からのひと言
本研究では海洋細菌によるプラスチックのアップサイクルの可能性を示しました。同様のアプローチで海洋細菌の単離・ゲノム解析も行っており(doi: 10.1128/mra.00584-25, 10.1128/mra.00785-25)、多様な微生物によるプラスチック分解メカニズムの解明を進めています。将来的には、これらの微生物を活用した実用的な環境浄化技術へと発展させたいと考えています。

抄訳

海洋環境におけるプラスチック汚染は深刻な環境問題となっており、プラスチック分解能を持つ微生物の探索と応用が注目されている。本研究では、神奈川県津久井浜海岸の表層海水から、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)のモデル化合物であるエチレン-α-オレフィン共重合体を用いてHalopseudomonas aestusnigri T1L2株を単離し、完全ゲノムを決定した。
T1L2株のゲノムは約391万塩基対の環状染色体からなり、ポリオレフィンの断片化に関与する可能性のある多銅酸化酵素や、断片化ポリオレフィンの代謝に関わる酵素の遺伝子をコードしていた。また、ポリオレフィン分解産物を生分解性プラスチック(ポリヒドロキシアルカン酸)に変換する酵素遺伝子も見出された。本研究は、海洋細菌を用いたプラスチックから生分解性プラスチックへの変換という革新的な環境技術の基盤を提供するものである。

 

 

論文掲載ページへ