本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2025/09/16

恒常的UPR惹起およびヒストン脱アセチル化酵素欠損変異を有する出芽酵母株の有用物資生産への可能性

論文タイトル
Potential of a constitutive-UPR and histone deacetylase A-deficient Saccharomyces cerevisiae strain for biomolecule production
論文タイトル(訳)
恒常的UPR惹起およびヒストン脱アセチル化酵素欠損変異を有する出芽酵母株の有用物資生産への可能性
DOI
10.1128/aem.00644-25
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology Ahead of Print
著者名(敬称略)
木俣 有紀 木俣 行雄 他
所属
奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科バイオサイエンス領域

抄訳

酵母細胞を用いた異種性分泌蛋白質や脂質類の生産は、コスト面などの優位性から、高い将来性が見込まれるバイオテクノロジーである。小胞体は分泌蛋白質や脂質の生合成を司るオルガネラであり、その機能不全は小胞体ストレスと総称され、折り畳み不全蛋白質の小胞体への蓄積を伴う。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを含む酵母類の多くでは、小胞体ストレスに応じて転写因子Hac1の発現が誘導され、Hac1依存的なトランスクリプトーム変動によって小胞体の機能が活発化し、小胞体ストレスは解消される。これが酵母類におけるUnfolded Protein Response (UPR)である。Hac1を非制御的に発現するよう遺伝子改変を加えたS. cerevisiae株(Hac1強制発現株)は、常にUPRが惹起されて小胞体の機能が高まり、異種性分泌蛋白質や脂質類の生産能が向上するが、著しく増殖能が低下する。この論文では、ヒストンを脱アセチル化してトランスクリプトームを変動するHistone deacetylase A複合体の欠損により、Hac1強制発現株は高い小胞体機能を保ったまま、増殖能が回復することを示す。

論文掲載ページへ